青山・BIG青山店
地下鉄銀座線・半蔵門線の表参道駅から地上に出ますと、目の前を国道246号線が走っています。ニーヨンロクの愛称で親しまれているこの道路は、皇居のほとりにある三宅坂を起点として、都内でもおしゃれな街としてしられる赤坂見附・青山・渋谷・三軒茶屋・瀬田などを結んでいる幹線道路です。ここから渋谷方向に歩きますと直ぐに青山学院大学の瀟洒な建物群に出会います。私は英語の試験を受けるため(受験ではなく、一般人を対象にしたもの)一度だけ構内に入りましたが、正門から続く背の高い並木道には少なからず感銘を受けました。最近では学内の木々をはるかに凌駕する高層の建物ができてしまったので雰囲気もかなり味気ないものになったとのことですが、都心にあってこれだけの落ち着いた雰囲気を残している大学は少ないのではないでしょうか。
青山学院大学を過ぎますと、246から枝別れした道路がJR山手線のガード下を通って道玄坂の方に伸びています。その枝別れする三叉路に架けられた歩道橋のところに、お酒のディスカウント・ストアBIGがあります。 表から見るとうなぎの寝床のような感じですが、ビール・日本酒・ウイスキーに混じって、世界各国のワインが豊富に並んでいます。隅から隅までじっくりと見て回りますと結構時間がかかります。いつもならそうするのですが、この日はディナーを予約していてあまり時間がなかったので大急ぎで見て回り、ラベルがとても印象的なフランスのワインを2本買い込みました。それにしても安かったですね。私の直感では、この2本はかなりのレベルだと思いますが、さあどうでしょうか。
で、そのディナーなのですが、渋谷のとある場所にある欧風関西料理のお店で頂きました。このお店は知る人ぞ知る名店なのですが、シェフがお一人しかいらっしゃらない上(時々、シェフのお子さんがお手伝いされるようですが)、お客さんにもそれなりにマナーをもってお食事を楽しんで頂きたいとの思いがあるようなので、ここではお店の名前は出さないことにします。お店はお世辞にも綺麗とは言えないとあるビルの5階にあります。小さなエレベーターを降りますとお店の入り口です。沢山のワインの空き瓶に飾られて小さなドアがあります。平日はウエイトレスの方がいらっしゃいますが、土曜・日曜はシェフお一人のこともあります。そんな時は入り口にある鈴を鳴らすのです。そうすると、やおらシェフがキッチンから出てこられてテーブルに案内して下さいます。
ここのお店は、予約時にいろいろな好みを伝えておくとかなり希望をかなえてくれます。テーブルにはちゃんとその日のメニューを書いた板が置いてあります。夜食のアラカルトを除けば、平日・休日とも原則コース形式です。そんなに高いお値段ではありません。テーブルに座ってお店の中を見まわしてみますと、壁はとにかくワインの空瓶で埋め尽くされています。手にとってみますと、結構お馴染みのブランドがあります。中には驚くようなヴィンテージものも見受けられます。席につくと直ぐに7品の前菜が大皿に盛られて出てきます。一つ一つが芸術的な色彩に彩られています。一見しただけでその味が本物であることが見てとれます。材料は築地市場で仕入れた本物の魚介類です。なにしろ、シェフ自身が築地まで出向いて馴染みの業者さんから直接仕入れられる訳ですから鮮度も品物も最上のものです。
先ずはワインの選定です。このお店には常時数百本のワインがストックされているようですが、ありきたりのお店と違ってワインリストにはそんなに名前はのっていません。価格帯とお客さんがどういうワインを飲みたいかという基準が書いてあります。この基準に沿って好みを伝えるとシェフが一番ふさわしいワインを選んで下さる訳です。シェフのお勧めに従えばまず間違いありませんが、どうしてもというお客さんにはテイスティングのチャンスが与えられます。目隠しこそしませんが、お客さんのリクエストに近いワインを3種類選び、銘柄が分からないようにして番号だけを付けた中から、お客さんがテイスティングして一番好みに合ったワインを決める訳です。あまり専門家ぶったら恥をかきます。テイスティングというのはフツーの人にとっては結構難しいものなのです。
最初の前菜が魚介類だったので、私はスパークリングワインを飲みたいと思い、以前飲んだモーゼルのゼクトを注文しました。これは最高でした!前菜も素晴らしく、この段階で至福の時を迎えました。続いて魚介類と野菜の炊き合わせ(鮪のミンチのハンバーグ風もあり、煮物ではない)で、これがまた絶品!更に雲丹を巻いた焼きおにぎりが出て、これがこのお店の最高の味!焼きおにぎりといって軽く見てはいけません。薄いおにぎりに雲丹を巻き付け、焼いた後で上等の海苔で包んだ一品ですが、口に含んだ瞬間に雲丹と海苔の香ばしい味が口中に広がって。。。ん、もぅ、最高ん。。。
次がジャーーーン!!!この夜の最高のお馳走の『伊勢海老のお造り』!なにしろ、ディナーのお値段の倍もするかと思えるような大振りの伊勢海老がナント活き造りで出てきたりして。。。この日はたまたま築地市場で安く手に入ったそうで、シェフの大奮発の一品でした。この巨大な伊勢海老クン、その絶品のお造りを堪能している間中、長いひげを動かしてまるで握手を求めるよう。。。可哀相ではありましたが、その分心からお味を堪能させて頂きました。
最後にシャーベットが出てきたのですが、これまた最高!ほんのこさじ一杯くらいの量なのですが、味は濃厚で素晴らしいデザートです。とにかく、隠れた名店なのですが、どうしてもという方にはお店の名前だけお教えしましょう。でも多分これだけで見つけるのは難しいと思いますが。。。お客さんが少ないときにはシェフと直接お話しすることができます。関西時代に創作した焼きおにぎりの苦労話など聞かせて頂けます。もちろんシェフはワインにもお詳しく、話しだしたらなかなか止まりません。平日は東京でも3本の指に入ると思われるくらいの超魅力的なウエイトレスの方がお給仕して下さいますが、土曜・日曜はシェフおひとりなので、シェフと直接お話しするチャンスがあるかもしれません。特別な日には是非大事な方とご一緒にお食事やワインをお楽しみ下さいませ。
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (赤) フランス: CHATEAU GRAND MONTEIL (1997)
- 『シャトー グラン モンテイユ』は、伝統的な方法で醸造され、オーク樽で6ケ月かけ熟成されたカベルネ・ソービニヨンとメルローから造られるボルドー産の赤ワインです。明るく輝きのあるルビー色で、数々のアロマ(ベリー、オーク、コーヒー、バニラ)が香り、バランスのとれた味わいとアフター・テイストのすばらしさが特徴です。ミディアムタイプで、16℃位が飲み頃です。
フランスの高級ワインには、黄色がかったセピア色のラベルが多く見受けられます。このワインのラベルも、いかにもボルドーの銘醸ブランドとでもいうような魅力的なものです。ラベルの下には次のような文章があります。例によって意味は全くわかりません。
Chateau Grand Monteil tait partie de l'elite de son appellation et nos vins sont vinifies dans la pure tradition bordelaise. Ce Bordeaux, autenthique, digne de nos grandes cuvees, a ete vielli en barrique de chene pendant six mois. La recolte 1997 a produit 411,000 bouteilles.
最初はかなり渋味を感じ、しばらくして辛さが出てきます。でも飲んでいくうちにそれほどでもなくなります。そんなにコクの豊かなボルドーの赤という訳ではありませんが、まずまず普通に飲む分には良いでしょう。それにしても辛いなぁ。。。
- (赤) フランス: CHATEAU FILLON (1997)
- 『シャトー フィヨン』は、赤・白両方を産出するシャトーで造られた赤ワインです。赤ワインの畑は2haです。このワインは、カベルネ・ソービニヨン種が70%、メルロー種が30%の割合で造られており、美しいルビー色で程よいコクと豊かな果実味が特徴です。ミディアムタイプで、16℃位が飲み頃です。ボルドーA.C.で、シャトー元詰めです。
赤ワイン用の葡萄畑が2haですから、とても小さなシャトーのようです。意外とこのようなワイナリーがボルドーの隠れた銘醸ワインを産出するのかもしれません。期待しましょう。
如何にもボルドーらしい男性的な味です。非常に濃い色をしており、未熟児とも思える若いワインなのにしっかりとした味をしています。カベルネとメルローをうまく合わせているためか、飲むほどに複雑な味わいが感じられ、ボルドーの赤ワインの醍醐味を堪能できます。お勧めの一品ではないでしょうか。
戻る