マルセイユ・SPAR
さーーーあ、マルセイユに着きましたよ!TGVから降りますと、ムッとくる蒸し暑さです。ホームは乗降客でごった返しています。日本の新幹線ホームに比べるとはるかに狭く、下手するとバッグがすれ違う人に当たってしまいます。降りてよくよく見ますとTGVが一層スマートに感じます。新幹線の車体に比べると重量感がまるで違います。でも、先頭の窓ガラスは田園地帯を超高速で走行してきたせいか、虫などの衝突した後が点々とあります。ご苦労様と心の中でお礼を言ってマルセイユ駅の外に出ます。そうなんです。改札口もなにもないのです。そういえば、シャルル・ド・ゴール空港駅で乗車した際も改札口はありませんでした。日本では考えられないことです。私の場合は期間内乗り降り自由のユーレイ・チケットだったため必要なかったのですが、普通乗車券だと乗車口にあるチケット読み取り機に差し込んでマークするのだそうです。うっかりして読み取り機にチケットをかけていなくても乗車できますが、その代わり車内では必ず車掌さんが回ってきますので、たとえ正規のチケットを持っていても乗車前に読み取り機にかけていないと罰金を科せられるそうですからご用心!
飛行機と列車の長旅の疲れとワインの飲み過ぎ、それに荷物の重さと蒸し暑さで参ってしまい、ホテルまではタクシーで行くことにします。マルセイユの駅の近くはかなりごちゃごちゃしています。道路も狭く、そこを車がひしめいて走りまわり大変な喧燥です。マルセイユではホリディ・インを予約していましたが、駅からもそんなに遠くなく10分ほどで着きました。ホテルの位置する通りは道幅も広く、また両脇にゆったりとした歩道が付いていました。周りのビルは大体が10階建て位の高さに統一されていてなかなかきれいです。午後3時にマルセイユの駅についてホテルで旅装を解き、お風呂で汗まみれの体を洗うともう5時になりました。普通ならその日は何もできませんが、緯度が高いせいか5時といっても真昼のようです。出かけましょう!マルセイユは昔はマッシリアとも呼ばれた古くからの街であり、地中海の要所に位置する港町のためか、いろんな国の文化が混じり合い、とてもエキゾチックな雰囲気です。マルセイユに来た以上は名物のブイヤベースを賞味せずばなりますまい。地球の歩き方を見ますと、旧港近くにグッドなレストランがあるとのことです。旧港ってどこにあるのでしょうね?ホテルのフロントの方に聞きますと、地下鉄で行けるとのこと。マルセイユにも地下鉄があったのかとビックリしましたが、タクシーよりは安上がりな筈ですし、これは利用せねばなりますまい。
意外というか、最寄りの地下鉄の駅はホテルからほんの1分の至近距離にありました。エスカレーターで地下に降りていきます。地下に降りますと切符売り場がありますが、全自動のため使い方がさっぱり分かりません。フランス語で表示はしてあるのですが、まるでチンプンカンプンです。仕方なく改札口の近くにいらした方に助けを求めます。大きな犬を連れているので多分警備員なのでしょう。とても親切な方ですが、とにかくフランス語で説明されるもので何を説明しているのか全くわかりません。そのうち痺れを切らしたのか、財布を出させてそこからコインを取り出し機械に入れました。見ていますと何となく操作方法が分かります。結局9フランで切符を入手し改札口を無事通過してホームに降りて行きます。後で分かったことですが、この切符は1時間以内なら何回乗ってもいいし、またバスでも使用できるのだそうです。切符は入り口では機械に通さないといけませんが、出口では必要ありません。そのためか、出口付近には使用済みの切符が散乱しています。こんなカード型のチケットを使い捨てにするのは少々勿体無い気がします。
ホームは意外に短いですね。それに暗いです。電車は割と頻繁に運行されているので、長くても数分しか待ちません。ほどなく電車が到着しました。なんと車輪はタイヤなのです。ちょうど新橋から有明を結ぶ『ゆりかもめ』を地下で走らせている感じです。ちょっと古ぼけていますが。。。フランスの地下鉄で面白いのは、電車が駅に停車しても自動的に全部のドアが開かないことです。ドアの取っ手に付けられたロックを外すとドアが開きます。知らないといつまでたってもドアは開きません。
マルセイユの旧港までは電車を乗り継いで3つ目です。あっという間に到着です。エスカレーターに乗っかって地上に出ますと、もうそこは波止場です。沢山のヨットが係留されている中に漁船が見えます。波止場はコの字型をしていて、手前側に長い広場があります。ここが名物の朝市の場所です。両側の道路に沿ってはずらりとレストランやカフェが並んでいます。ハンパな数ではありません。本でお勧めのブイヤベースのレストランはまだ開店していない上に、車の往来の激しい道路の直ぐ側までテーブルが並べられています。夕日がまともに照り付ける上に猛烈に暑く、また車の排気ガスまで吸い込んではたまりません。反対側の岸に行きます。こちら側にもおびただしい数のレストランがあります。時間が早いせいか、あんまりお客さんは入っていないようです。端から順番に店選びをしていきますと、あちこちから呼び込みの声がかかります。怪しげな日本語も聞こえます。2回ほど往復しましたが、なかなか気にいったお店が見つかりません。喉も渇いてきたし。。。もういいやと妥協して山盛りのムール貝をパクついているお客さんのいる一軒のお店に入ります。安直ですねぇ。
こぼれるような笑顔のボーイさん(おじさんですが)からメニューをもらいましたが、イマイチ気がのりません。とりあえず、ブイヤベースとムール貝とビールを頼みます。お料理を待っている間に何人もの花売りの子供たちがやってきます。大人もいます。少々うんざりしている間にブイヤベースとムール貝が運ばれてきました。記念に写真を撮りましょう!さあ、待ちに待ったお食事です。味付けは、葫や香辛料をふんだんに使っていて悪くはありません。ただ、ブイヤベースに入っている魚は、大きな骨は取り除いてあるものの意外と小骨が多くちょっと食べずらいですね。そんな訳でスープにはなかなかいい味が染み込んでいます。これは飲むのではなく、付け合わせのパンを浸して食べると硬く味のないパンが驚くほど美味しくなるから不思議です。
どうせならもう一軒と思ったのですが、少しアルコールが入るとどっと疲れが出てきました。今夜のところはひとまずホテルに引き上げましょう。あっと、その前にワイン!です。今回の旅はワイナリー巡りとワインショップでの地元ワインの購入でした。でも見渡す限り、港の近くにはお店らしきものが見当たりません。もう9時なので普通のお店は閉店してしまったのでしょう。。。ふと見ると、ちょっとした裏通りに果物屋さんが見えます。ちょっと覗いてみましょう。表には果物だけでなく、野菜も売られています。お店の奥には雑貨に混じって食料品が売られています。そしてワインも!早速中に入ってみます。小さなスーパーといった感じですが、100本以上のワインが棚に並べられています。さすがにワインの国ですね。中には1本8フランというのもあったのですが、20フラン位の安いプロヴァンス・ワインを買い込みました。何てったってここはプロヴァンス地方ですからね。
時計をみますと夜の9時です。まだまだ夕暮れ時です。楽勝!と思って地下鉄の駅に向かいます。今度は自分で切符も買いホームに降ります。結構乗客がいますね。ほどなく到着した電車に乗り込みます。2つ目の駅で乗り換えます。ここからはホテルまで1駅です。ホッとして反対側のホームを見ますと誰もいません。電車が出たあとかなと思っていましたが一向に人が来ません。こちらのホームには観光客らしい若いカップルとお兄さんがいるだけです。何となくヤバイ感じがします。電車はなかなか来ませんね。そのうちにカップルとお兄さんが壁に張られた小さな紙を見ながらしきりと何か話しています。そのうちにお兄さんが私に何やら話し掛けてきました。あっ、危ないっ!と一瞬身を引きます。私がフランス語は分からないという仕種をしますと、今度はカップルの女の子が英語で話しかけてきます。あっ、危機一髪!と思ったら、何と彼女は終電車が既に出てしまっているというのです。驚き!桃の木!山椒の木!です。。。ひとまず駅の外に出なければなりません。階段のところに向かいますと突然反対側のホームの明かりが消されてしまいました。続いてこちらのホームも。。。日本でしたら駅員さんがホームの隅々まで確認してから明かりを消すのでしょうけど、幾ら何でも乱暴ですぅ。急いで階段を上がるとそこも薄暗くなっておりしかも出口にはシャッターが下りています。恐怖感が込み上げてきました。スリラー映画の1シーンを見ているようです。見ている分には何ともありませんが、そんな状況に置かれたらたまりません。一緒にいたお兄さんとカップルが大声で駅員を呼びますが反応ありません。
冗談じゃない!こんな蒸し暑い地下の駅に一晩も閉じ込められては!ともう必死です。幸運なことに駅員が残っていました。ぶつぶつ言いながらやっとのことで出口のドアを開けてくれました。もう脱兎の如く地上に出たら夜の帳が降りていました。まさに地獄から生還したようなものです。。。カップルの2人は若いながらもとても親切でホテルまでのバスの番号まで教えてくれました。何回もお礼を言い別れましたが、さすがにバスに乗る気もせず結局歩いてホテルまで帰りました。ふと見ると反対側の歩道を先ほどのカップルが手をつないで歩いています。女の子の手には恐らく旧港で買ったであろう一輪の花がありました。私は何回もやってくる花売りの貧しい子供たちからは何も買わなかったのに、なんてやさしい心を持った人達なのでしょう!フランス上陸の初日から清々しい心になりました。
翌朝はマルセイユの朝市を見に出かけます。この日からレンタカーを借りてドライブするのですが、未だ時間は十分にあります。ホリディ・イン名物の朝食バイキングをたっぷりと頂きます。ハムは抜群に美味しいし、チーズもふんだんにあります。定番の脂っこいウインナーとかゆで卵、それにフルーツをたっぷり胃の中に押し込み、さあ朝市にお出かけです。8時を回っていたのでちょっと出遅れたかなと旧港に急ぎます。旧港付近は昨夜の賑わいが嘘のように静かです。でも朝市見物の人や、地元の買い出しの人は三々五々集っています。広場には空の台が幾つも並べられていますが、お魚をのせているのは1人だけであとはガランとしています。可哀相に、このおじいさんの魚は売れ残ったのかぁ。。。と少々同情します。それにしても全く売れていませんねぇ。。。一軒でも見たからいいか、と名残に港をちょっと散歩します。
すると、何隻かの漁船が朝市めがけて進んでくるのです。接岸すると舟からピチピチ跳ねるイワシとかアジとかを水揚げしているではありませんか!そうなんです、朝市は始まったばかりで、あのおじいさんは一番乗りだったのです。。。舟からは選り分けられたお魚に混じってイカとか穴子とかいわゆる雑魚を入れた籠も引き上げられます。多分これがブイヤベースの素材になるのでしょう。中にはトラックで大きな海老を運んでくるおばさんもいます。こうして賑やかな朝市が始まりました。
雑魚(ざこ)とは良く言ったものです。。。
船着き場の看板には『CHATEAU D’IF』と書いてありました。デュマの小説『モンテ・クリスト伯』の主人公が無実の罪で幽閉されたイフ島へ行く舟の乗り場だそうです。島送りにならないうちに退散しましょう。。。
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (赤) フランス: DOMAINE DE LA CROIX (1997)
- 何が書いてあったか今となっては分かりません。。。
これは悲劇のワインです。散々苦労してマルセイユで見つけた街のスーパーで買込んだ安いワインでしたが、旅の途中にアキシデントで瓶が粉々に壊れてしまい、幻のワインとなってしまいました。。。
粉々になったボトルから剥がしたもので。。。
- (白) フランス: CHATEAU DE HAUX BORDEAUX BLANC SEC (1997)
- 特に解説はありません。
で、このワインはその代わりに入手したものです。私は別に代わりのワインなぞ欲しくも何ともなかったのですが、まあ仕方ありません。頂きましょう。
このワインは超一流ホテルの備蓄の品なのですが、ボルドーの白とはいってもあまり特徴はありませんでした。それとも、ホテルの冷蔵庫で冷やし足りなかったからか、はたまたマルセイユのワインが惜しかったからか。。。このワインには罪はないんですけどね。
今回の旅では、ちゃあんとラベル・レコーダーを持参したのです!きれいでしょう?
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