みつわ台・シマヤ





みつわ台と聞いて、『ああ、千葉のみつわ台ね。。。』と直ぐ答えられる人は長年地元に住まわれているに違いありません。昔はJR千葉駅からバスで行くしかなかったのでしょうけど、何時の間にかモノレールが開通していて、駅の数は結構あるものの千葉駅から10分少々で行くことができます。このあたりは昔は陸の孤島と呼ばれたものですが、随分便利になったものです。このモノレールは、道路の真上を通っていますので、普段はあまり目にすることのない高さから途中の街並みを見ることができます。途中、スポーツ公園や動物園も通りますので、初めて乗車された方は車窓から沿線の街並みを眺めるのも一興でしょう。モノレールは2両連結ですが、朝夕のラッシュ時はともかく、昼間の時間帯は車内は閑散としています。そのせいか、運賃はとても高いですね。。。



みつわ台駅前には住宅公団の大きな団地があります。もう出来てから随分と経つのでしょうか、建物はちょっと古くなっていますが、その分緑の豊かな落ち着いた団地になっています。でも何も団地を見に来たのではありません。『シマヤ』さんという面白そうな酒屋さんがあると聞いたもので、遠路はるばるやって来たのです。インターネットにもホームページを開設しておられ、一見しただけでも興味シンシンのお店のようです。

みつわ台の駅を降りますと、銀行と郵便局はあるものの、低層の建物がつらなる住宅地が広がっています。モノレールの進行方向に向かって2−3分も歩くと、何やらケバケバしい純日本風の建物が目に入ります。近寄ってみますと、立看板と貼り紙の洪水です。表から見ますと、店内は普通のコンビニのようです。雑誌、化粧品、日用品、お菓子に混じってお酒やチーズも売られています。あれ、大したことはないな。。。と思いながらレジのところに行きますと、奥の部屋が見えます。手前の小さな小部屋にはお米や味噌、それに梅干しなどが置かれています。ナント、ちゃんと空調設備のある部屋なのです。お米のセラーなんて始めて目にしました。

その奥には更に3つ程の部屋があります。棚には溢れんばかりの日本酒が並んでいます。中でも、一番奥の部屋には全国各地から選りすぐった名醸の生酒が大量に氷温貯蔵されています。私も今までにいろんな酒屋さんを見て回りましたが、これだけの日本酒を揃えているところはなかったように思います。そのせいか、お店に来られるお客さんも近所の方ばかりではありません。あ、大きな声を出しながら恰幅の良い紳士が入ってきました。紳士:生で飲めるいい酒はないかね?店員さん:はいどんなタイプがいいでしょうか?紳士:辛口がいいな。店員さん:それではこれなんか如何でしょうか?2千円ですけど、ちょうど飲み頃ですよ!紳士:そんな安モンじゃだめだ!もっといいのはないかね?店員さん:それではこれは如何でしょう?1万円ですけど。。。紳士:値段は幾らでもいいんだ。。。見たところ紳士は地元のオーナー企業の社長さんといった感じでしたが、結局超高級生酒を3本ばかり買い込んでいかれました。凄いですねぇ。。。

店内の壁にはこのお店のオーナーとおぼしき方の写真入りポスターが貼られています。なかなか精悍な感じのおじさんですね。何でも、全国の蔵元を飲み歩き、長いことかかって蔵元のネットワークを作り上げ、この希に見る地酒の品揃えを成し遂げたのだそうです。でも、似顔絵と写真はちっとも似ていませんね。。。



通信販売もやっているようですから遠方の方でも利用できますが、一度は店内を見て頂く価値のあるお店であることには違いありません。



で、日本酒の品揃えも凄いのですが、地下にはこれまた仰天するようなワインカーヴがあります。地下室に続く階段脇から始まって、とにかくワイン・ワイン・ワインの山です。勿論セラーとしての空調は万全で、その上ワインの大敵の余計な明かりは最小限に押さえられています。カーヴには一般ワイン用の大きな部屋とその奥の小部屋があります。大きな部屋といっても壁と棚とがワインで埋め尽くされていて、通路を歩くのも難しい位です。産地別に区分けされた棚には、上は何万円もするようなものから下は千円位のものまで多種多様のワインがあります。そのどれにも丁寧な解説を書いた紙が付けられていて、それを読むだけでもなかなかに面白いです。更に奥の小部屋には頑丈な鍵をかけたケースが並んでいて、ロマネ・コンティを始めとして伝説的なワインが収められています。何でもドイツのさるコレクターが放出した秘蔵のワインをまとめて買い取ったとのことです。ヴィンテージものも数多くあるそうですから、探し物があったら店員さんに聞くのもいいでしょう。なにしろ、これだけの酒屋さんですから店員さんも相当のお酒通です。ワイン売り場のお兄さんなど、ワインの名前を聞いただけで在庫のあるなしは勿論のこと、年度毎の味の特徴とかワインにまつわる話とか、機関銃のようにまくしたてます。こういうお店に来られるお客さんも相当なワイン通のようですから余程勉強されているのでしょうね。



ホームページから借用させて頂きましたが、実際はもうちょっと薄暗く雑然としていました。


結局、私は1本しかワインを買わなかったのですが、結構高かったにもかかわらずワイン代よりも交通費の方が高くつきました。。。

私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。

(赤) フランス: CHATEAU DE CANTERANE (1991)

『シャトー・デ・カンテラーヌ』は、南フランス(コトー・デュ・ルーション)の地中海の潮風を受け、広大な産地に13世紀からのワイン造りの伝統を最大限尊重する方針を今日まで貫いているモーリス・コント氏の傑作です。このワインは飲み頃まで長期間熟成させるため、樹齢50年以上のシラー種を50%使用しています。アルコールとポリフェノールが十分に溶け合って豊潤なフルーツの味が大変見事に作られている赤ワインです。

地下の本格的なワインカーヴに眠る2千種類ものワインを片っ端からチェックしていったのですが、そうそうたるワインの中に、お値段は私の上限ながら魅力ある赤が見つかりました。何が魅力あるかといいますと、棚に貼り付けてある解説文に、『ミッテラン大統領愛飲のワイン。。。』と書いてあるのです。ワイン王国フランスの、それも超高級ワインを飲みなれている筈の(元)大統領が愛飲するとはきっと素晴らしいワインに違いありません!ボルドーやブルゴーニュでなく、コトー・デュ・ルーションの産というのも面白いところです。もっとも、ミッテランさんが飲まれたのは1981年産のワインだったそうですが。。。

やっぱり高いワインの栓を抜く時は緊張します。いいワインは中味だけでなく、コルク栓もしっかりしていますし、ラベルも手で奇麗に剥がれます。このワインも例に漏れず、栓はシュパッと簡単に抜けましたし、ラベルも一点の綻びもなくきれいに手で剥がれました。中味は。。。といいますと、高級ワインに共通なやや褐色がかった枯れた色をしています。こんなワインはガオッと飲むには勿体なさ過ぎます。飲む前に何度も香りを楽しみます。いわゆる芳醇な香りと形容するより、熟成した複雑な香りと表現した方がいいでしょう。口に含みますと、そんなに美味しさとかコクとか感じません。飲んで直ぐに美味しさを味わえるような世俗的なワインではないのです。何回も咀嚼し、ワインの全ての成分を分解し尽くすような集中力をもって味わって始めて、このワインの本当の価値が分かろうというものです。これが本物のフランスワインだと見抜くとは、さすがにワイン王国の元大統領のミッテランさんですね。











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