トルデシージャス・MESON VALDERREY
セゴビアを夕方の6時に出発してN110を戻り(正確には行きはN603を通ったようなのですが)、とりあえずバリャドリッドを目指します。今夜の宿であるトルデシージャスはバリャドリッドの20km程手前に位置しますから、バリャドリッドを目指せば自然とトルデシージャスに着く筈です。N110からN−Yに入ればその通りだったのですが、どうもA6に入ってしまったようです。A6は途中でN−Yと複雑に交じり合って、最終的にN−Yに合流します。ところが、地図をよく確認しないでバリャドリッドの標識だけを見ていましたので、あろうことかトルデシージャスを経由しないでバリャドリッドに向かうN601に入ってしまいました。大平原の中を走るN601は、それはそれでいいのですが幾ら走ってもトルデシージャスの標識が出てきません。おっかしーーーいなぁ。。。と途中で気が付き、よくよく地図を見ましたらトルデシージャスとはとんでもなく離れたところに来ていました。今更引き返す訳にもいかず、また途中からトルデシージャスに通じる道も見当たりませんので、止むなく一旦バリャドリッドまで行ってからトルデシージャスに戻ることにしました。時計の針はもう8時近くを指しています。
困ったことに、私の買ったミシェランの地図にはバリャドリッドもトルデシージャスも区域外でのっていません。こうなったら標識だけが頼りです。バリャドリッドはこの辺りでは大都市になりますので行くには行けますが、ここからトルデシージャスへの道を探すのがなかなか大変です。バリャドリッドの街の中をぐるぐる走っているうちに、環状線に入ったのかやっとトルデシージャスの標識が見えてきました。ひーーーん、BUDOYAさんとの約束の時間まであと30分しかありません。トルデシージャスはバリャドリッドの西に位置しますので、ようやく傾いた太陽の西日が容赦なく運転席に差し込みます。超眩しいのですが、そんなことは云っておれません。私にしては珍しくアクセルを踏みつけます。あと何km、あと何kmと秒針まで気にするように走り続け、ようやっとトルデシージャスのSALIDA(出口)を出たのは9時10分前でした。ところで今夜の宿であるパラドールは何処にあるのでしょうか?もう迷っていられません。車ならアッと云う間に通り抜けてしまいそうな小さな町ですが(事実一度は町外れまで行ってしまいましたが)、車を止めて場所を聞いてみます。『パラドール?橋を渡って右に折れたら直ぐですよ。。。』といったことを身振り手振りで教えてくれます。その通りに行きますと、確かに橋がありました。橋の下を中くらいの川が流れています。というか、殆ど流れは止まっているように見えます。これがデュエロ川か!と初めて見るリベラ・デル・デュエロの母なる川に感慨ひとしおですが、もう9時3分前です。橋を渡ったところで右に折れ、殆ど建物もない寂しい道を行きますと直ぐにパラドールの標識がありました。広大な松林の中に2階建ての建物があります。やっと着きました。時計を見ましたら8時59分になっていました。
森林浴も楽しめる『Parador de Tordesillas』
トルデシージャスは、県都バリャドリッド、サモラ、メディナ・デル・カンポ、サラマンカなど、スペイン史の中で重要な役割を演じてきたこれらの町のほぼ中央に位置します。(ちなみにバリャドリッドは、サッカーの城選手がチーム・メンバーとなったことからスペインで3番目に有名な市になったのだそうです。)デュエロ川が緩やかに流れ、古い家並みと新しい家並みが混在する町です。1494年にスペインのカトリック両(?)王とポルトガルのジョアン2世との間で大西洋を二分する条約がこの町で結ばれました。また、フランドル(現ベルギー)生まれのカルロス1世に対して、トレド、セゴビアなどの古い町が中心となって反乱を起こし、1521年にここから北西13kmのピジャラールで王党軍に撃破された古戦場としてもスペイン史上名高いところです。
パラドールは、町の中心から橋を渡り(そうそう)、(デュエロ川の)対岸の静かなカラマツ林の中に白壁2階建てのリゾート感覚溢れた佇まいをしています。現代建築ながら、床には大きな切り石が敷かれ。内装は全体的に頑丈な感じです。フロント前のサロンには豪華な革張りのソファ(ぶかーーーっと沈む感触が最高です)や年代物の机が置かれ、外来者も気軽に立ち寄り休息ができます(サロンの奥にはBARがあって、ここがまたセルベッソを飲むにはいい雰囲気です。)。カラマツ林を真正面に見るレストランにはテーブルが20卓ほどあります。茶色の木の梁が組み合わされた高い天井まで全面窓ガラスになっています。庭のテラスで樹々が生み出す清楚な空気を吸いながらの食事も最高です(今回は庭が工事中のため室内で朝食を頂きましたが、松林の緑が超ビューティフルでした)。
フロントの前に車を止めますと、日本人らしきご夫妻が立っておられます。BUDOYAさんのようです。どうも待ちくたびれたご様子。。。早速初対面のご挨拶をして、とりあえずチェックインをします。初めてのパラドールですが、確かに年代物を感じさせる調度品や内装です。天井の明かりは裸電球ですが、それはそれで風情があります。お風呂にはドライヤーがあるし、設備は問題ありませんね。さあ、BUDOYAさんにお土産を渡さないと。。。
これで夜9時の明るさです。夕方ってところでしょうか。
お土産を持ってロビーへ引き返します。BUDOYAさんご夫妻はBAR(バル)でビールを飲んでおられました。私もスペイン入国後初めてのビール、いやセルベッソを頂きます。BUDOYAさんとは何回もメールをやり取りしていましたので全く初対面という気がしません。いろいろお話ししているうちに、BUDOYAさんのお住まいはこの近くでなく、バリャドリッドの先にあるらしいのです。私は方向的にこの近くだと思い込んでパラドールにお招きしたのですが、とんだご迷惑をかけてしまいました。そうなりますとあまりお引留する訳にもいきません。パラドールで夕食でも。。。と申しましたら、葡萄畑を見に連れて行って下さるとのこと。申し訳ないとは思いましたが、ご好意に甘えて連れていって頂くことにしました。さすがに夕暮れ時であたりは暗くなりかけてきましたが、BUDOYAさんの車に乗せて頂いて出発です。20分程走って平原の中の葡萄畑に辿り着きました。南フランスのように、あたり一面が葡萄畑ということではなく、広大な草地の一部が葡萄畑になっているという感じです。車を農道に止め、葡萄畑まで歩いて行きます。大きな月が昇ってきました。もう夜の帳が降り始めています。
草地の先の緑の帯が葡萄畑です。
葡萄畑に近づいてみますと、大きな葉っぱの下に青いながらもたわわに実をつけた葡萄の房が幾つもぶら下がっています。さすがにスペインですね、7月中旬というのに葡萄はこれだけ育っているんですね。どれどれお味をみて進ぜましょう。。。ガブッ。。。コリコリ。。。ペッペッペッ。。。やはり葡萄は未だ固いですね。。。
記念に葡萄の葉を一枚頂きましょう。有難うございます(←コラコラ)。
あたりは暗くなってきましたが、こんどはデュエロ川を見せて頂きます。パラドールに行くときに渡った橋を戻りますと、そこに小さな広場があります。ここからデュエロ川が一望できるのです。さすがに暗くなってきましたのではっきりとは見えませんが、落ち着いて見ますと運転席からチラッと見た感じとはまた違って見えます。デュエロ川はこのあたりでは川幅こそ大したことはありませんが、ポルトガルにまで達するスペイン有数の大河です。ですけど、日本の河川のように護岸工事が施されていないためとても自然な感じがします。暫しリベラ・デル・デュエロの母なる川を眺めます。いいですねん。。。
さあて、10時になってしまいました。パラドールに戻っても食事にありつけるかどうか分かりません。BUDOYAさんのお勧めで橋の袂にあるBAR兼レストランでディナーを頂くことにしました。BARに入りますと誰もお客さんはいません。これでも未だ早い時刻なのだそうです。軽くビールを飲んでお隣のレストランに席をとります。初めてで何も分かりませんので、とりあえずBUDOYAさんのお勧めに従ってお料理をオーダーします。お料理は奥の調理場で用意されるのですが、何も仕切りがありませんので中の様子がよく見えます。お願いして写真を撮らせて頂きました。コックさんは初めての経験なのか、ポーズをとって下さいました。
気のせいか、『吉幾三』さんに似ている。
最初のお料理はサラダと生ハムです。何と凄まじき量でしょうか。。。パンもデカイですね。皿に乗らないのか、テーブルの上にころがっています。勿論ワインも頂きます。ワインリストの中から、以前BUDOYAさんから送って頂いた『PESQUERA』を選びました。出てきたワインのラベルには確かに見覚えがあります。リベラ・デル・デュエロの地で地元のワインを頂けるとはこの上ない喜びです。
サラダのドレッシングは、テーブルに置かれたオリーブ油などの調味料を使って好みで作ります。
続いて、『海老のガーリックオイル炒め』やお肉料理を頂きます。ワインも最初の1本が空いてしまいましたので、2本目を注文します。BUDOYAさんがお店の方に、『とっておきのワインはありますか?』と聞かれます。さすがに奥様共々スペイン語は堪能ですね。セルベッソとサリダしか知らない人間からすれば羨ましい限りです。お店の方がとっておきのワインを持ってこられました。何でも、これがお店に残っている最後のワインだとか。。。日本では絶対に手に入らない幻のワインです。ウエイターさんが慣れた手つきでコルク栓を開けます。プーーーンと芳醇な赤ワインの素晴らしい香りが広がってきます。飲んでみますと、繊細ながらも複雑で奥深い味です。オリーブ油にも、ニンニクにも、お肉にもよく合います。これぞスペインのお料理とワインですね。BUDOYAさんとお話が弾んでいる間にも、地元の家族連れが何組か食事に見えます。10時位から食べ始めるのですから、終わりは12時過ぎてしまいます。あまりBUDOYAさんを引き留める訳にもいきませんので、この辺でお開きにしたいと思います。BUDOYAさんにパラドールまで送って頂いてお別れしましたが、本当に楽しい時を過ごさせて頂きました。それにしても今日は疲れましたね。一日で270kmはそんなに無謀な距離でもないのですが、やはり始めての土地を走るのは気分的にも肉体的にも疲れます。パラドールに帰って服のままベッドに横になったかと思ったらそのまま朝まで眠ってしまいました。。。
翌朝早く目が覚めました。早速朝風呂を使います。いやーーー、気持ちいいですね。危うくバスタブで眠りそうになりました。今日は日曜日です。松林に囲まれているせいか、空気は澄んでとても爽やかな気分です。朝食が待ち遠しいですね。行きましょう。ダイニング・ルームに行きますと、広い窓一杯に朝日が射し込んでいます。窓側のテーブルを確保します。朝食はビュッフェ・スタイルですので、先ず、オレンジジュースを並々とグラスに注ぎます。続いて、生ハム、サラミ、普通のハムに変わったハム、茹でソーセージ、オムレツ、ゆで卵などなどお皿にとります。もうお皿はてんこ盛り状態です。それに、揚げパン、チーズ数種、野菜、果物等々をとって主要なお料理は全てゲットします。私は普段朝ご飯は食べないのですが、急にこんなおご馳走を食べても胃腸は平気です。朝の陽光が零れる松林を眺めながらのパラドールの朝食は、もう例えようもない素晴らしさです。スペインに来て良かったとつくづく感じます。さあ、今日の元気が出てきました。今日の予定は城壁の町アビラと古都トレドです。早くトレドのパラドールに着いてプールにでも入りたい気分です。出発しましょう。。。
ダイニング・ルームの入り口にワイン棚が置いてありました。きっとお宝物のワインの数々なのでしょう。。。
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (赤) スペイン: PAGO DE CARRAOVEJAS CRIANZA RIBERA DEL DUERO (1996)
- Para hacer este vino se han seleccionado las uvas mas maduras y soleadas del Pago de Carraovejas, con las variedades Tinto Fino y Cabernet Sauvignon. La cosecha se califico como EXCELENTE.
La crianza fue de 12 meses en barricas de roble Americano y Frances. Sin clarificar, se embotello en Julio de 1998. De este vino se han embotellado 120,000 botellas de las cuales 1,000 son de Magnum.
『MESON VALDERREY』さんで2本目に頂いた赤ワインです。この年(1996年)のこのワインはとても素晴らしかったとかで、私達が飲んだワインはお店にあった最後の1本だったそうです。私のようなものが頂いても宜しいのでしょうか?
確かに余韻の残るワインでしたね。最初の一口もそうですが、時間を置くとどんどん美味しくなってきました。リベラ・デル・デュエロ産ワインの真髄ですね。
- (赤) スペイン: PESQUERA CRIANZA RIBERA DEL DUERO (1996)
- 特に解説はありません。
これは『MESON VALDERREY』さんで最初に頂いた1本です。よくよく見比べてみますと、以前飲んだワインと同じような気がします。
ワインの専門家であるBUDOYAさんを前にしてのテイスティングは緊張します。カヴァも白も飛び越していきなりの赤でしたが、ビールで喉を潤していたためかスムーズに飲めました。結構濃い赤でしたが、辛口ながらもなかなか美味しかったです。この赤ワインを家で飲んだ時には、まさか1年後に同じワインをリベラ・デル・デュエロの地元のレストランで頂くことになろうとは夢にも思いませんでした。感慨深いものがあります。。。
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