アビラ・N−Y とあるサービスエリア



パラドール・トルデシージャスを出発する前にお庭を散歩します。朝のせいもあってか、広大な松林は清々しい空気で満ちています。朝食を食べ過ぎて膨らんだお腹はそのままに、大きく深呼吸をして新鮮な空気を胸一杯に吸い込みます。気持ちいいですね。このパラドールにはプールがあるそうなのですが、暫く歩き回っても見つかりません。ま、どっちみちチェックアウトをしてしまったし、ゆっくりする時間もありません。出発しましょう。昨日はデュエロ川にかかる橋を渡って来たのですが、よくよく見ますと反対側に『N−Y』の標識があります。こちらがマドリッド方面への最短ルートです。ほんの数分走ったところに、N−Yの入り口(インターと呼べるほど大規模ではありませんが)がありました。迷わず突入です。N−Yは、日本の高速道路ほどは混雑していませんが、やはりマドリッドへの幹線道路ですからそれなりに交通量は多いですね。首尾よく車の流れに乗ってホッとしたのも束の間、私の車の後ろにはあっと云う間に後続の車が接近しています。80kmでは遅いかな。。。と思って100kmにスピードアップしますが、それでも後から後から後続の車がつながってきます。スペインの高速道路は大抵が3車線です。左側は追い越し用に、右側は合流用に使われるのが一般的です。従って、真中の車線では全体の車の流れを邪魔しない程度に走ればよいのです。ところが、”N”の付く高速道路では最高速度が120kmに設定されています。でも、これは私の見るところ『最低速度』としか思えません。坂道でもない限り、どんな車でも120km以下で走ることはないのです!追い越し車線を疾走する車など、優に160kmは出しているように見えます。そういう訳で車のスピードを120kmに上げようとしますが、小型車のせいかどうも安定感がありません。止むなく、なるべく後続の車に邪魔にならないように走ります。

昨日の疲れもあったのでしょうけど、30kmほど走りますと強烈に睡魔が襲ってきます。今日も最低200km以上は走らないといけません。たったこれだけの距離で。。。と自分を叱咤しますが、体は正直です。もうどうにもたまらなくなってしまい、サービスエリアに入って何か飲もうと思います。昨日の失敗に懲りたので、今回は青地の標識のサービスエリアに入ります。平坦な場所だったせいか、サービスエリアに入っても高速道路は直ぐ傍に見えます。段々と日差しも強くなってきましたので、屋根つきの駐車場に車を止めます。ガソリン(重油?)は未だ大丈夫なようです。売店に入ってみましょう。売店の中にはお菓子とか雑貨とか、いろんなものが売られています。コンビニのようですね。売店の奥にはBARとレストランがあります。とりあえずBARでジュースを飲むことにします。『ウーノ オレンジジュース!』で十分に通じますね。日本だと紙容器に入ったジュースを注ぐか、良くてオレンジ1個を絞るかでしょうけど、スペインでは豪勢にオレンジを使います。写真のミキサーの上部に生のオレンジを数珠つなぎに置いてから。ガァーーーッと絞る訳です。粒々も入って、もう新鮮さこの上もありません。ふーーーっ、生き返りますね。でも、私は冷たいビールが。。。



ジューサーの上にはオレンジの列。絞り終わったらそのままごみ箱に入ります。


一息入れてからBARの売店を見ます。BARにも小さな販売コーナーがあって、主としてお酒のつまみになりそうな食べ物が売られています。パテとか、チーズとか、生ハムとか。。。ワインも棚一杯に並べられています。勿論、全てが地元リベラ・デル・デュエロ産のワインです。何でサービスエリアでワインを売るんでしょうかね?それは需要と供給の関係ですぅ。。。BARの奥には立派なレストランがありました。結構豪華でその上広く、しかも入り口の棚にはワインが山のように並んでいます。まさか運転する人は飲まないんでしょうね。。。



左手にワイン、右手に生ハム。。。わっかるかなぁ、この駄洒落。。。


さあて、一息入れたらお昼の12時になりました。でもレストランには未だ人影はありません。スペインでは2時位から昼食を兼ねたシエスタの時間帯に入るそうです。未だお腹も空いていないし、また気力を出して運転を続けましょう。今夜はトレドに泊まりますが、その前に城壁の町・アビラを観光します。トルデシージャスからアビラまで100km、アビラからトレドまで150kmの距離です。アビラはN−Yから20−30km外れた平原の中にあります。N−Yを出てN403に入ります。田舎道ですが、ちゃんと舗装された快適なルートです。黄色に枯れた牧草地や畑の中を地平線の彼方まで延々と続いています。改めてスペインの国土の広さを感じます。N403には休息所が殆どありません。でも、N−Yでの抜かれつ・抜かれつ(昨年と同じ)の大レースに比べたら田舎道は余程楽です。相変わらずどの車も飛ばしますが、N−Yよりは走っている車が遥かに少ないので、私がノロノロ運転してもそんなに迷惑は掛けないのです(と、思いましょう)。真っ青な空、カンカン照りの太陽、遥か地平線まで続く黄色の牧草、今スペインにいるという実感が本物になってきます。



のんびり走ったので1時過ぎにアビラの町外れに到着しました。アビラの町の入り口は真新しい建物が目立ちます。城壁は何処に?と遥か先を見ますと、何やら壁のようなものが見えます。その方向に向かって町中に入りますと、これはまた緑の多い近代的な街並みです。私は、アビラは古ぼけた中世の都市をイメージしていましたが、とんでもハップンです。暫く街中を走りますと、突然巨大な城門が見えてきました。どうやらここが『城壁』の入り口のようです。城門の前には小さな広場がありますが、駐車場はありません。城壁に沿って坂を下りますと少し道が広くなっています。既に車は満杯だったのですが、あまり歩きたくなかったので強引に駐車しました。おや、ちょっと後ろ半分がはみ出たかしらねぇ。。。



青い空に黒い斑点が見えますが、鳥の大群です。一番手前の車が私の乗ったSEATです。


ひーーーっ、疲れました。。。おまけに車の外に出たら強烈な暑さ。。。先ずは冷たい飲み物を。。。と城門の中に入ります。日本流に考えると、普通ならお城の中には民家はない筈なのですが、アビラの城壁の中には民家も商店もホテルも教会も何でもあります。つまり、お城の中に町がそのまま入っている訳です。狭い道をちょっと歩きますと広場に出ます。その入り口にワインのビンが沢山並んだお店があります。もう吸い寄せられるように入っていきます。お店は小さいのですが、売られている商品はさまざまです。中でもワインは奥の棚一面に並んでいます。手にとって見れないため、アビラ産のワインがあるかどうか分かりません。ちょっと気力も失せていましたので、記念にお土産のサフランだけ買って退出しました。今思うと、何でもっと面白いワインを探さなかったのか悔やまれます。



広場の隅には小さなBARがお店を出しています。何か、冷たいものでも飲みましょう。。。パラソルで日陰のできたテーブルを見つけて座ります。日差しに直接当たると猛烈な暑さですが、空気が乾燥しているせいか日陰にいますと広場を吹き抜ける昼下がりの心地よい風がたまりません。スペインの人達がシエスタとして休む筈です。こんな素晴らしいお天気に、何でビルの中で働く必要があるのでしょうか?私ならシエスタに限らず、一日中でもここに座っていたい気分です。




どうですか、この優雅さ。。。




左のお皿は定番のオリーブ、右のお皿はアンチョビの載ったパンです。


城壁の中には当初私が泊まろうとしていたパラドールがあります。ついでに立ち寄ってみたのですが、素晴らしい建物です。何でもこのパラドールからは庭伝いに城壁に登れるのだそうです。でも、宿泊客だけしか行けないらしく、いろいろチェックしてみたのですが城壁に登る入り口はありません。諦めて帰ろうとしましたら、最初に入った門の他にもう一つ城門があることに気づきました。アルカサル門というらしいのですが、このあたりは丁度工事中でした。ひょいと城門の脇を覗いてみますと小さな階段の先に受け付けがあります。どうやらここから城壁に登るようです。チケットを買い、いかめしい警備のおじさんの横をすり抜けるようにして階段を上がります。城壁の真下に当たるところにちょっとした資料館があります。ここから更に階段を登ると城壁の上に出ます。おぉ、これはいい眺めですね。。。城壁の上は細い通路になっています。結構な距離がありますね。一番端っこの城壁に立ちますと、遥か遠くまで広がる大平原が見渡せます。ふと下を見ますと私の車が見えます。『立ち入り禁止!』の看板がある階段から出れそうでしたので、警備のお兄さんに『ここから出てもいーーーい?』と聞きましたら『ダメダメ!』と怒られました。仕方ありません。またもと来た通路を引き返して私の車から遥か離れた城門まで戻ります。



アビラ城壁のお花です。ちょっと暑さにぐったりしているようですが。。。




あーーーあ、歩き疲れてくたびれました。時計は3時近くを指してます。今日は早めに宿に着こうと、城壁の町・アビラを後にします。アビラからトレドまでは、N403を真っ直ぐ南下すればいい筈です。また、150km近いドライブが始まります。

私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。

(赤) スペイン: LA HORRA RIBERA DEL DUERO (1996)

Vino de gran aroma y finura elaborado con una seleccion de uvas de nuestros vinedos, de las variedades Tinto fino y Albillo. Temperatura recomendada: de 16℃ a 18℃.

このワインは、一休みしたN−Yのサービスエリアで記念に買い込んだものです。殆どが1000ペセタ(600円位)前後のごく普通のワインでしたので、何となくラベルに引かれたこの赤にしました。

お値段も安かったし、リベラ・デル・デュエロ産とは云っても、まあ大したことはないだろうと思っていましたら、これがとんでもなく美味しいワインだったのです。まあ、私のランキング(もう一年近くメンテしていませんが)で云えば間違いなく10本の指に入ることでしょう。色からして物凄く濃く、香りは年代物を感じさせ、味はコクが満ち満ちています。これは5本の指に入るかもしれません。イヤ、3本の指かな?







見よ!コルク栓に染み込んだワインカラーを!










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