ネルハ・とある酒屋さん
コスタ・デル・ソルに再び太陽が戻ってきました。今日も快晴です。バルコニーに出て、暫し朝焼けとまだ眠たそうな地中海を眺めます。スペインの旅も7日目ですが、ホテルの部屋からの眺めで印象に残ったのは、古都トレド、アンダルシア大平原を望むカルモナ、そしてここバルコン・デ・エウロパです。何時までもコスタ・デル・ソルの海岸を眺めていたいのですが、バルコニーは朝の太陽を浴びて早くも灼熱の様相を呈しています。そろそろ朝食の時間ですし、支度してレストランに行くことにします。それにしても、暑いっ。。。
昨夜は町に繰り出したばかりに、この超素晴らしい眺めのレストランでのディナーを逃してしまいました。せめてここで朝食を頂きながら窓からの展望を楽しむことにしましょう。
食欲はちっとも衰えていませんね。。。
やはり土地が変わるとお料理のメニューも微妙に違ってきます。一皿目は例によってハム・ソーセージに卵焼きのテンコ盛りですが、二皿目はさすがにそうもいきません。ついビーンズに手が出てしまいます。うん、でも美味しい!
今夜は、いよいよ憧れのアルハンブラ宮殿内にあるパラドール・デ・グラナダに泊まります。ネルハからグラナダまでは100km程の距離で、その間には大した名所はありません。時計を見ますとまだ昼前です。グラナダまでの所要時間を差し引いてもまだまだタップリ時間はあります。どこか立ち寄るところはありませんかねぇ。チェックアウトを済ませてから、ホテルのロビーに備え付けてある豪華な革張りの椅子に座って暫し地球の歩き方をチェックします。ふーーーむ、ミハスと並ぶもう一つの『白い村』がありますね。かつてスペインで一番美しい村にも選ばれたこともあるという、別名『アンダルシアの白い村』フリヒリアナです。それに、何かの本で読んだことのある『ネルハの洞窟』も近くにありそうです。フエンヒローラでミハスへの道を探すのに苦労しましたので、ここはちゃんとルートを確かめてから出発したいものです。フロントのおばさん(お姉さん?お嬢さん?)にルートを聞いてみます。本当は虫の知らせというか、早いとこグラナダに行ってアルハンブラ宮殿の木陰の下でセルベッソでも飲みながらゆっくりしたいという気持ちもあったのですけどね。
『あー行って、こー行って、そー行って、右に曲って、左に曲って。。。』ということになって、じゃ行くの止ーーーめた!となればそれも良し。。。と心の底では期待していたのですが、あにはからんや、おばさんは地図を取り出してルートにマークし、『ハイ、これ。。。』と手渡して下さいます。しょうがない行きましょう。。。とりあえず荷物を車に運び入れてから、少しネルハの町を歩いてみることにします。昨夜もある程度歩きましたので町中の様子は大体分かります。先ほどホテルで頂いた地図を見ますと、『マーケット』らしき表記があります。これは大青空市場に違いないっ!と思って行ってみることにします。10分ほど歩きますと、朝のお買い物を済ませた地元の方でしょうか、同じようなポリ袋に何やらかにやら詰め込んで家路に向かわれています。これは期待できるかもかも!と先を急ぎますと、そこそこの大きさのスーパーがあります。どうもマーケットは市場でなくって、ただのスーパーのようです。ま、しょうがない。。。ミネラル・ウオーターでも買いましょうか。。。
平日の午前中にもかかわらず、店内はお客さんで賑わっています。ワイン売り場もあったのですが、日常飲むようなワインが多くてあんまし気が進みません。お魚のコーナーを覗いてみます。結構いろんな種類のお魚や貝が売られています。海老なんかも豊富ですねぇ。日本と比べて形は不揃いですが、お料理の腕さえ確かなら本格的なお刺身コースも造れそうです。うーーー、お寿司食べたいっ。。。
お魚のコーナーには、スリムなおばさんが。。。
お肉のコーナーは更に充実しています。でも、肉の塊がハンパではありません。スペインに住んだらアッという間にお腹が出てしまいますね。日本に生まれて良かったねぇと、暫し我がお腹を見つめます。。。
お肉のコーナーには、ふくよかなおばさんが。。。
野菜・果物のコーナーは更に充実しています。種類も量も多い上に新鮮さが違います。日本の果物は海外からの輸入物が多いせいか、輸送の間の傷みを防ぐために何となく人工的に鮮度を保ったような感じがします。スペインでは殆どの野菜・果物が国内で自給されていますので、とにかく何でも新鮮です。形は不揃いでも食べてみればその瑞々しさが味わえます。どれもこれも美味ぴそう。。。ですが見るだけにします。
野菜のコーナーには、スマートなおばさんが。。。
駐車場への帰り道に昨夜見つけておいた酒屋さんでお土産用のシェリー酒の小瓶を買います。自分用のワインを買う場合にはフルボトルになるのですが、お土産用となると途端にハーフサイズになってしまいます。でも、このシェリー酒。。。地元マラガの産らしく、お土産用としては勿体ないので自分で飲んじゃいました。。。
さて、フリヒリアナに向かって出発しましょう。ネルハの町中はごちゃごちゃしていて車の運転は大変ですが、なにせ小さな町ですので山の方角に向かって適当に車を進めて行きますとまもなくN340にぶつかります。フリヒリアナへはN340を通り越して真っ直ぐに進みます。そうしますと直ぐにE15と交わります。これを更に通り越えますと、後はフリヒリアナまで一本道です。E15を越えたところから坂道になります。このあたりに来ますと、人家は疎らになりますが道はよく整備されていてきれいです。坂道になりますと例によって私の車のスピードはガタ落ちになります。ま、別に急ぐこともないし、のんびりと行きましょう。おや、しびれを切らしたのか、ローバー・ミニかと思うような小さな車が追い越していきます。どうぞ先に行って下さいませ。。。前方に大きな道路標識がありますねぇ。どうやらこの先にロータリーがあって道が分かれているようです。何だか表示が込み入っていてよく分かりませんねぇ。。。えーーーと、フリヒリアナへ行くには3番目の出口かなぁ。。。と、標識からふと目を前方に戻しますと。。。ひーーーっ、目の前に車が!それも道路上に停まっているぅ!車間距離から判断して、急ブレーキをかけても間に合わないと瞬間的に悟ります。『た・す・け・て・ぇ・・(絶叫が続く。。。)』
勿論、神も仏も助けてはくれません。右足に満身の力を込めてブレーキを踏みます。キ・キ・キーーー、ドッスーーーン。。。『(@ @);(x x);;(_ _);;;*@%$#&!#@<!>¥』。。。やってしまいました。私は絶対ぶつかると分かっていましたので、それなりにガードしてケガはありませんでしたが、ぶつけられた方はそんな余裕はなかった筈ですから心配です。取り敢えず車から降りてみます。道路上はガラスとかプラスチックの部品が飛び散り燦燦たる有様です。相手の車はトランクカバーが跳ね上がり、荷物がグチャグチャになっています。運転台からは血相を変えたおじさんが降りてきます。旅行本には、外国で事故を起こした場合はむやみに謝らない方がいいと書いてありますが、これは完全に私の責任です。『オー、テリブリー ソオーリー』と、手をモミモミしながら謝ります。相手の車はえらく小さいのですが、前の席におじさんご夫婦、後ろの席におじいさんとおばあさんとおばさんと座っておられたようです。つまり、ミニなのに5人も乗っていたのです。私の車のボンネットは”く”の字形に大きく凹んでいます。ラジエーターは潰れてしまい、中の液がポタポタと漏れています。これだけの衝撃ですから後ろの席に座っておられた年配の方は無事である筈はありません。案の定、おじいさんが背中をさすっています。『アーユー オーケー?』
おじさんがスペイン語で『xxxxxxx?』と訊いてきます。私は『(@ @);。。。』状態です。今度はおじさんは『ドゥ ユー スピーク イングリッシュ?』と訊いてきます。おや、英語が話せるようですね。地獄に仏とはこのことです。スペイン語でしたらセルベッソ以外何も分かりませんが、英語ならなんとか話せます。『あ りとる。。。』と答えます。おじさんはどうやら地元の方ではなさそうです。スペインの方でもなさそうですね。私があまりにも申し訳なさそうな顔をしていたのか、おじさんも少し表情を和らげ、『車を道端に寄せなさい』とおっしゃいます。私の車は結構損傷が大きかったのですが、なんとかエンジンはかかりました。とりあえず車を道路脇に寄せ、道路上に散乱した車の破片を片付けます。次はレンタカー会社に連絡しなければなりません。相手の車のおじさんは非常用電話を探しに行きます。私は近くの小さな事務所風の建物に向かいます。それにしても暑いです。帽子を被る余裕もありませんでしたので頭がクラクラしそうです。事務所風の建物は洗面用品を販売している会社のようです。思い切ってドアを開けます。
事務所の中では中年の男の人が机に向かって帳簿か何かを調べています。私が突然入って来たものでちょっと驚かれたようですが、身振り手振りで事故を起こしたためにレンタカー会社に連絡したいと伝えます。男の人は快く電話を取り、私の差し出した保険証の電話番号にダイヤルします。HERTZのような大きな会社になりますと日本語で応答するサービスもありますが、地理に不案内な旅行者にとっては事故を起こした場所を的確に説明することはなかなか難しいことです。相手の方には迷惑でしょうけど、可能であれば近所の人の助けをお願いするのが最善です。男の人は暫く話していましたが、どうやらうまく連絡がついたようです。と、さっき追突した相手の車のおじさんも事務所の中に入って来られました。どうやら非常用電話が見つからなかったようです。おじさんも事務所の方に保険証を見せてレンタカー会社への電話を頼みます。事務所の方はまたまたレンタカー会社に電話をします。おじさんの車もレンタカーのようです。こういっては何ですが、レンタカー同士の物損事故であれば事後処理は余程楽になります。とりあえず相手の車に乗っておられた方に怪我はなかったようだし、両方ともレンタカー同士だしで最悪の事態は避けられたようです。ホッ。。。
両方のレンタカー会社に連絡がつきましたので、事故現場に戻って係りの人が到着するのを待ちます。時刻は1時過ぎで、運が悪ければシエスタの時間帯にかかってしまいます。グラナダへは行けるのでしょうか?ちょっと心細くなっていきます。それにしても暑いですね。コスタ・デル・ソルの強烈な日差しが容赦なく照りつけます。事故を起こした本人であればあのみっともない観光用の帽子を被るわけにもいかず、ひたすらレンタカー会社の係りの人の到着を待ちます。おじさんも同じ境遇なので、そのうちに言葉を交わすようになります。おじさんから聞いた話では、前方から来た車が道路を横断しようとしたために一時停止していたのだそうです。日本のように左側通行であれば問題なかったのですけど。。。いろいろと話すうちに、おじさん達一家はスコットランドに住んでいて、夏の間だけフリヒリアナにある別荘に滞在するのだそうです。道理で人数の割りには荷物が少なかった訳です。何だか話しているうちにお友達のような雰囲気になってきました。おじいさんは相変わらず背中をさすっていましたので、私がマッサージの要領でモミモミしてあげますと、これが結構効いたようで逆にお礼を言われてしまいました。相手の車の荷物にも損害を与えたことだし、気持ちだけでもと2万ペセタほどポケットに入れて準備しておきます。
1時間ほど未だか未だかと待っていましたら、大型のレッカー車がやってきました。車から降り立ったのは30歳位の小柄なお兄ちゃんです。早速、事故処理を始めます。と、云っても相手の車の保険証に必要な事項を書き込むだけです。書き方の説明はしてくれますが、書き込むのは本人でなければなりません。お兄ちゃんは片言の英語を交えながら一生懸命に説明してくれます。汗びっしょりになりながら、ようやっと書き終えました。ホッ。。。それからお兄さんはレッカー車に私の車を積み込みます。私は始めて見たのですが、後部トランクのスペアタイヤの底には牽引用の金具が入っています。これを前部ナンバープレート横にある取り付け口にねじ込み、ここにワイヤを渡して荷台に引っ張り上げるのです。たったワイヤ1本ですが、1トン以上もある車がスルスルとレッカー車に積み込まれます。あれぇーーー、わたちの荷物も一緒だよーーーん。。。もう遅いですね。私の一切の荷物は荷台に括り付けられた車の中に置き去りにされてしまいました。財布とパスポートの入った手提げや貴重なワインの入ったバッグもぜーーーんぶ一緒に。。。ひーーーっ。。。
私がぶつけた相手の方は未だ事故処理の車が来ないようです。追突しておいて先に現場を離れるのは申し訳ないのですが仕方ありません。お詫びのつもりで、ポケットに入れておいた2万ペセタを渡そうとしますと、『とーーーんでもないっ』といった感じで受け取られません。奥さん始め、おじいさんおばあさんまで異句同音におっしゃいます。後で何かあっても悪いので、とりあえず私の住所とe−mailのアドレスを書いておじさんに渡します。全く予想していなかったのですが、おじさんも住所とe−mailのアドレスを書いて私に渡して下さいます(後日談になりますが、帰国した後でこの住所を頼りにBUDOYAさんからワインを送って頂きましたら、大層なお礼のe−mailを頂きました)。何度も頭を下げて丁重にお詫びした後レッカー車の助手席に乗り込みます。クーラーが付いていないのか猛烈な暑さです。一気に緊張が解けたためか急に喉が渇いてきます。、水・・・みず・・・ミズが欲しいっ!
レッカー車のお兄ちゃんは、『ノー プロブレム ニューカー』と私を元気付けます。どうせ車はグラナダで返却する予定でしたから、バスか何かでグラナダまで行ければ代わりの車は要らない。。。と、内心思ったのですがそんな我儘は言えません。お兄ちゃんによれば、グラナダとは50kmも逆方向のマラガの営業所まで戻るのだそうです。クーラーがないもので、開けた窓からは熱風がビュービュー吹き込んできます。喉が渇いたよぉーーー。。。暫く走りますと、お兄さんはガソリンスタンドでレッカー車を止め給油します。スタンドには小さなお店があります。絶好のチャンス!助手席を飛び降りてお店に駆け込みミネラルウォーターを買い込みます。1本100ペセタもしなかったのですが、財布を持っていませんのでさっき追突した車のおじさんに受け取って貰えなかった1万ペセタ札を使ってようやくお水をゲットしました。レッカー車に戻ってお水をキューーー。。。おいぴい!
結局、マラガ空港内にあるHERTZの営業所で代わりのOPELを用意して頂き、グラナダに向かいます。でも、またネルハには戻りたくないですね。別のルートをとりましょう。マラガから北に向かうN331に入りますとA359を経て、グラナダに向かうA92に入ります。マラガからグラナダまでは150km位の距離ですが、山間の単調な景色が続きます。結局事故処理で3時間近くを費やしました。その上、事故の後にまた車を運転するのも辛いことです。疲れと暑さでボーーーッとなりながらも、今度は慎重に運転します。ようやっと、A92の前方にグラナダの市街が見えてきました。。。
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (シェリー酒) スペイン: MALAGA DULCE
- 特に解説はありません。
2週間の長期休暇を気前良く認めて頂いた(誰が2週間と言った!)上司へのお土産用として何か面白いワインはないものかとお店の中を見ましたら、このマラガのシェリー酒が目にとまりました。スイートタイプのシェリー酒は人により好き嫌いがありますのでどうかなとは思ったのですが、デコレーションとしてボトルに巻かれた紐がなかなかに珍しくつい買い込みました。玩具のように安かったのですけど。。。
昨年のフランス旅行では1ダース近くのワインをバッグに入れて日本に持ち帰ったのですが、あまりの重さに腕が変形してしまいました。今年は昨年に懲りて7本半しか持って帰りませんでしたので、1本1本に特別な思い入れがあります。このハーフサイズのシェリー酒は見ているうちに段々と情が移っていき、とうとう自分で飲んでしまいまひた。スイートタイプのシェリー酒は、中国の招興酒と味・色合いが非常に似ています。このシェリー酒も極甘で強烈な味です。通常、シェリー酒はドライタイプであれば食前酒として、またスイートタイプであれば食後酒として飲まれますが、私はお食事と一緒に頂いたものでアッと云う間に空っぽになってしまいました。これできっと来年の休暇は1週間しか取れませんね。。。
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