タイの散歩道(2001年)





昨年の4月に生まれて初めてタイに行きましたが、もうタイへは2度と行く機会はないものと思っていました。あろうことか、あれから1年も経たないうちに再びタイに行くことになったのです。タイのワインは全て制覇したし(といいましても4−5種類だけですが)、シリラート病院にも行ったしで思い残したことは何もありません。そういう訳で、出来うれば酷暑で知られるタイのそれも真夏の時期に行きたくはなかったのですが、仕事で行けと言われれば致し方ありません。覚悟を決めて準備に入ります。いえ、仕事の準備ではなくって観光の準備なのですけど。。。

今回も昨年同様、往復共にJALを利用することになりました。往路は6時間の旅ですが、機内で出されるワインとお食事だけではちょと物足りないですね。という訳で、一緒に行く同僚と相談してワインとおつまみ持参で機内での大宴会を催すことにしました。飛行機の機内にわざわざワインを持ち込むとはあんまり聞いたことはありませんが、何せ退屈になるのは目に見えていましたもので。。。同僚が白ワインとフランスパンとパテを持ち込むことになりましたので、私は赤ワインとチーズを揃えることにします。出発の前日にお散歩がてらお馴染みのスーパーマーケット田園に立ち寄ります。相変わらずのワインの品揃えです。幾ら何でもエコノミー席でフルボトルは目立ち過ぎますよねぇ。ハーフサイズのワインを探したら数種類しかありません。とりあえず一番安いワインをゲットします。

次はチーズですね。どうせなら大奮発してロックフォール・パピヨンといきたいところです。あるかなぁ。。。とチーズ棚を探しまくったら、ありましたね!手頃なお値段でしかも結構大きい!コレコレ。。。とチーズもゲットします。ついでにレバーパテの瓶詰めまで買い込んで準備は万全です。(←何しに行くの。。。)




何だかチーズが湿っているように見えるのは気のせいか。。。



こちらはポークレバーペーストのパテです。これとパンと赤ワインさえあれば。。。


さあて、出発の日になりました。海外旅行といえばスーツケースは欠かせませんね。どこまでもツイていない人はこういう日に限って雨に遭うものです。雨の中を傘を差しつつ、重たいスーツケースをゴロゴロ引っ張って最寄の駅までトボトボ歩くのはなんとも情けないものです。そういうことで、私は海外旅行に出かける時は何日も前から出発する日のお天気が気になります。今回は幸いなことに快晴の上天気となりました。幸先がいいですね。

飛行機は夕方の便で、バンコクに到着するのは夜中になります。機内は空いているのかと思っていましたらほぼ満席の盛況です。こりゃ宴会はやりずらいかなぁ。。。と、ちょっと気が引けます。まあ、せっかく準備してきたのだから止める手はないよね。。。と思い直しますが、幾ら何でも離陸もしないうちにボトルを開ける訳にはいきません。とりあえずベルト着用のサインが消えるまで座席でおとなしく待つことにします。以前でしたら離陸後、最初の飲み物のサービスが始まるまでに結構時間があったのですが、最近はベルト着用のサインが消えると同時にスチュアーデスの方が立ち上がり、飲み物のサービスが始まります。こんなことなら無理してワインを持ち込むこともなかったですね。

ま、そうはいっても他の乗客が飲み物の順番を待っている間に、持ち込んだワインの栓を抜くのはちょっと気分がいいものです。狭いエコノミー席で窮屈な思いをしながら、こぼさないように気をつけて先ず白ワインの栓を抜きます。シュポッ。。。グッドですねぇ。ま・ま・一献。。。と、同僚に白ワインを注ぎます。生憎と都内で買ってきたとのことで、あまり冷えていないようです。赤ワインと違って、室温の白ワインにはシャープさがイマイチです。もちょっと待てばスチュアーデスさんが冷え冷えの白ワインを配るのでしょうけど。。。同僚が袋からゴソゴソとフランスパンとパテを取り出します。座席のテーブルにパン屑を派手に散らばせながら、ちぎったパンにパテをたっぷりつけてガボと頂きます。これは美味しいですね!たまたま最後尾の席でしたので、周囲の乗客は私達の宴会に誰も気付きません。段々と調子に乗ってきました。。。

そうこうするうちにお食事の時間になりました。とりあえず白ワインは横に置いておいて、配られた白・赤のワインでお食事を頂きます。機内食は大した量ではなさそうに見えるのですが、結構お腹一杯になるものです。ありゃ、これでは折角買ったチーズが食べれない。。。と思い、今度は私が持ち込んだ赤ワインでロックフォール・パピヨンを頂くことにします。どれどれ。。。とチーズを取り出します。でも待てよ。。。ロックフォールといえばブルーチーズの代表格ですね。当然強烈な臭いがします。こんなものを満員の機内で開けたら回りから苦情・抗議が殺到することでしょう。かといって灼熱のバンコクに持っていったら本当に腐ってしまって、ドリアにも匹敵する臭いがホテルの部屋に篭ってしまうことになるかもしれません。今回は相部屋ですからそれも困ります。しょうがない。。。と覚悟を決めて(←勝手に覚悟を決めないでよぉ!)チーズのカバーをビリリと破きます。

チーズは固形物ですから、何も気にせず両手でカバーを破ったのですが。。。同僚がふと、『あ。。。シャツが濡れてるよ。。。』と教えてくれます。『えっ。。。』。下を見ますと、シャツだけでなく私の一番のお気に入りのズボンまで何かの液体がかかっています。『あ・・・』とチーズのケースを見ますと、どうも溶けたチーズの一部がこぼれたらしいのです。それもとびきり臭うブルーチーズの液が。。。もう赤ワインにロックフォールどころではありません。おしぼりを何枚もシャツとズボンに擦りつけて、必至にシミをふき取りにかかります。さすがに世界3大ブルーチーズのシミです。なかなか落ちません。もうすっかり宴会モードが消し飛んでしまいました。ホテルに着いたら早速クリーニングに出さないと。。。ひえーーーっ、幾らかかるかしらん。。。とあれこれ思いながら憂鬱な時間を過ごしている間に、飛行機はバンコクのドン・ムアン空港に着陸しました。

1年ぶりのバンコクですが、夜中の11時過ぎだというのに空港の中は人でごったがえしています。ホテルまでのバスを待つ間、手に持ったロックフォールの包みが段々と重荷になってきます。ホテルに持ち込んでも同僚に迷惑になるし、第一もう腐っているかもしれません。これでお腹を壊したら、観光どころでは。。。いや仕事どころではありません。惜しいとは思ったのですが、遂にバスに乗る前に塵箱にポイ。。。いやあ、清掃の人はあの袋を何だと思ったでしょうかね?バンコクにいる間は怖くて一回も新聞を見れませんでしたよ。。。

ホテルに到着したら夜中の1時近くになっていました。暑さで疲れていましたのでそのままベッドにもぐり込みたいところですが、汗とロックフォールの臭いで気持ちが悪くて仕方ありません。部屋に入るなり早速シャワーを浴びます。あーーーあ、サッパリした!何も考えずにそのままベッドにゴロリ。。。短い睡眠でしたが、さすがに高級ホテルのベッドは違います。朝6時には爽やかに目覚めます。今日は朝から仕事のスケジュールが入っていますので、さっさと朝食をすませましょう。ホテルはチャオプラヤ川岸に建っていますので、レストランからは通勤の乗客を満載した水上バスが行き交うチャオプラヤ川を眺めることができます。バンコクに来たという実感が沸いてきます。朝食はビュッフェスタイルですが、なかなかに豪華なお料理が並んでいます。生ハムこそありませんが、並べられたお料理の数々をお皿にテンコ盛りにして頂きます。勿論、1回では終わりませんが。。。その後で新鮮なフルーツとケーキとコーヒーを2杯。。。うっ、もうお腹一杯で動けません。。。お仕事はパス。。。といいたいところですが、さすがにそうもいきません。大きく膨らんだお腹をさすりながらお仕事に向かいます。



ホテルの窓から見たチャオプラヤ川です。


お仕事が終わって夕方になりました。今夜はバンコク郊外にあるローズガーデンで夕食を頂くことになっています。ローズガーデンは、バンコク市の南西32kmに位置し、ホテル、レストラン、各種スポーツ施設を備えた広大な公園で、タイの民族芸能を紹介する『タイ ヴィレッジ・カルチュラル・ショー』なども催されるそうです。ローズガーデンに着きますと、タイの民族衣装をまとった娘さんが踊りで歓迎してくれます。おや、ゾウ君もお出ましですね。



ローズガーデンというくらいですから、園内にはバラの花が溢れている。。。ということでもありません。それでもタイはさすがにトロピカルな国ですね。花の名前は分かりませんが、鮮やかな色彩の色とりどりの花が咲き乱れています。おっと、花より団子!夕食の会場である広場に急ぎましょう。広場に着いてみますと、お料理の屋台の他にタイの工芸品とか細工物を展示した出し物も並んでいます。



この果物はお供え物なのでしょうか、あまりにも細工が緻密なので食べるには勿体ないですね。


早速、同僚とビールで乾杯します。夕暮れが迫ってきて、ちょうどビアガーデンのような雰囲気です。でも、さすがに真夏のタイは夕暮時とはいっても暑い!こういう時には冷たいビールもいいのですが、キリリと冷えた白ワインもいいですね。『ちょっとぉ、お兄さん!ワイン下さいな!』。タイでワインを飲む人はそんなにいらっしゃらないのか、お給仕のウエイターさんはグラスにワインを注ぐと、さっさとボトルを持って行ってしまいます。グラスのワインはあっという間に空になりますので、いちいち声を掛けるのは面倒です。『ねぇ、ボトルごと置いていって下さいな!』.首尾よく白ワインを1本ゲットしました。ラベルを見ますと、ジョルジュ・デュブッフさんのワインです。白だけでなく、赤も同じ銘柄です。何でこのワインなのでしょうね?察するに、ジョルジュ・デュブッフさんのラベルにはバラの絵柄が使われていますので、ローズガーデンのバラに引っ掛けてこのワインが選ばれたのではないかと思います。





高島屋デパート特製ワイン。。。ではありません!


本場のタイ屋台料理には結構油が使われていますので、日本人にはそうそう沢山は食べれません。果物専門の屋台を見つけて、美しくデコレーションされたトロピカル・フルーツをゲットします。日本でなら、さしずめ千疋屋さんか高野フルーツパーラーさんに行かないと食べれないような珍しい果物ですが、タイでは屋台で頂くことができます。



舞台ではタイ式ボクシング(ムエ・タイ)のデモンストレーションが始まりました。本物のムエ・タイを観るのは初めてですが、K−1もかくや。。。と思うほどの凄い迫力です!



キックが見事に決まって相手は吹っ飛んでしまいました。いタイ。。。(←出た!)


次の日はちょっと時間を見つけてバンコク市内を観光します。昨年の旅行(いや、出張)で市内の主な観光名所は回りましたので、今年は同僚の案内役を務めます。先ず水上タクシーに乗ってワット・アルン(暁の寺)に向かいます。今回はお鍋を蹴飛ばすこともなく、スンナリとボートに乗り込めました。ボートは相変わらず凄いスピードでチャオプラヤ川を上ります。ボートの両側に張られたビニールシートの効果もなく、チャオプラヤ川の飛沫が容赦なく顔にかかってきます。超バッチイ。。。お昼過ぎの一番暑い時間帯のせいか、ワット・アルンにはあまり人影がありません。観光客のいない観光地はあまり迫力がないですね。早々に引き上げて次のワット・ポー(涅槃寺)に向かいます。ワット・アルンからワット・ポーまでは、主に地元の人が利用するボートで渡ります。ちょうどチャオプラヤ川を横切る格好で運行されていますが、料金は格安でたったの2バーツ(約6円)です。桟橋から直ぐのところにワット・ポーがあります。寺院の中に入りますと、大仏様はまだ寝ていました。。。



カメラを新調したせいか、室内にもかかわらず今回は大仏様がきれいに写っています。


ワット・ポーを見物したら次は王宮に向かいます。ここが観光の落とし穴なのです。王宮は高い壁に囲われた広大な敷地の中にあり、その入口はワット・ポーと逆の位置にあるのです。つまり、ワット・ポーを出て、長い壁に沿ってぐるりと反対側に回らないと王宮に入れない訳です。外国からの観光客にはこの位置関係がよく把握できません。取り敢えず、王宮の壁に沿って歩き出します。夏の午後の日差しは強烈で頭がクラクラします。たまらず頭にハンカチを置き、日陰を探して歩き続けます。王宮の角を曲ったところで何人かのトゥクトゥク(オート三輪車の荷台を改造した軽タクシー)の運ちゃんが、『もしもし、どちらに行かれるのですかぁ?』と声を掛けます。『王宮なんですぅ』と同僚が答えます。『今日はナントカの催しがあり、王宮は5時まで閉鎖されているんですよぉ』と運ちゃんが気の毒そうに言います。『えっ、本当?』、同僚は困った顔をします。時刻は3時過ぎですから、この炎天下で5時まで待つのも辛いところです。『じゃあね、それまでお買い物しない?車なら直ぐだし。。。』。どうもヘンですね。運ちゃん達は同僚の地図に遠慮なくお買い物の場所を書き込みます。『ささ、車にどうぞ!』。もうだまっておれません。『おーーーい、行くぞぉ』。運ちゃん達から同僚を引き離し、また歩き始めます。運ちゃん達はカモを逃がすまいとしきりと声を掛けますが、こういう時はさっさと逃げるが勝ちです。暫く歩いて振り返りますと、今度は別の日本人が同じように運ちゃん達に取り囲まれていました。。。

王宮の入り口にはなかなか辿り着けませんね。おや、向こうからおばさんが近づいてきます。『皆さん、コンニチワ!』と握手を求めてきます。おばさんとはいっても、女性が見ず知らずの男の人に握手を求めるのもヘンです。『どちらに行かれるのですか?王宮?道順をお教えしますからお話しましょう。そこは暑いですからこちらにどうぞ!』と同僚の手を取って、日陰になった王宮の壁際に連れて行きます。もう見え見えですね。暑い中、こんな人達に構っていられません。『おーーーい、行くぞぉ!』。また歩いていきましたら、向こうからイギリス人らしいおばさんが歩いてきます。外国人なら問題ないだろうと思って、『王宮へはどう行くのですか?』と訊いてみます。『オー、あそこの信号を左に折れて真っ直ぐ行くのよ!』。『サンキュー!』。王宮が閉まっているなどとは一言もおっしゃいません。結局、王宮の長い壁を半周してようやっと王宮の入り口に辿り着きました。勿論、ゲートは開いています。しかも、通常通り4時で閉まるのだそうです。あのまま運ちゃん達のお買い物ツアーに連れ出されていたら、踏んだり蹴ったりの散々な観光になったでしょう。。。



王宮観光を終えて、さあどうしましょう?昨年は行かなかったのですが、バンコクの中心部にジム・トンプソンの家というのがあるそうです。ディナーにはちょっと早いので、観光の締めくくりということで行ってみることにします。ジム・トンプソンはアメリカ人で、タイシルクを世界中に広めた功労者として知られています。彼はタイを始め、東南アジア各国の美術品や骨董品の収集家としても知られ、彼が住んでいた家がその膨大な収集品と共に博物館として一般に公開されているのです。ジム・トンプソンの家は、スカイトレインの建設によって一段と渋滞がひどくなったラーマT世通りから少し入った路地の突き当たりにあります。直ぐ裏手は運河になっていて、広い敷地内には、タイシルク博物館と彼の邸宅が同居しています。外国人の観光客には流暢に日本語を話すガイドさんが付きますので、彼の波乱に満ちた人生と貴重な骨董品の数々についての興味深い話が聞けます。ただ、家の中には1部屋を除いて冷房の設備がありませんので、扇子持参で行かれることをお勧めします。



ジム・トンプソンの家にようこそいらっしゃいました。ジム・トンプソンは1906年生まれのアメリカ人です。第二次世界大戦前は建築家として働いていましたが、34歳の時にアメリカ陸軍に志願してヨーロッパで従軍しました。第二次大戦の終了間際にCIAの前身であるOSSの情報将校としてタイに派遣され、退役するまで引き続き東南アジアで勤務し、タイに永住しました。彼は家内産業であったシルクの手織りに興味を持ち、その普及に没頭しました。デザイナーとしても、染色家としても天賦の才能に恵まれていた彼は、プリント模様のシルクを生み出し、その結果タイシルクの名を世界的に広めました。

ジム・トンプソンの家は、タイの古い建築様式を多く取り入れ、チークで出来た家を6軒寄せ集めて造られたものです。大部分は100年から200年以上経っており、そのうちの5軒はタイの古い都アユタヤから川を下って送られて来たものです。昔の建築方法に従って復元されましたが、建物の随所に彼の建築家としてのアイデアが活かされています。古い様式に従った中で、シャンデリアだけが電化されています。しかし、このシャンデリアも18世紀ないし19世紀のもので、既に富裕な貴族の家にありました。ジム・トンプソンの家の建築に際しては、この国の風習に従って占い師と占星家達が必要な宗教上の占いを行いました。

この家は1959年に完成後、まもなく一般に公開されました。展示品には昔のタイのものばかりでなく、周辺諸国の古美術品も多く含まれています。ジム・トンプソンは、1967年3月27日、マレーシアのキャメロン高原で休暇中に謎の失跡を遂げましたが、その原因は未だに手掛かりもつかめていません。一般公開以来、ジム・トンプソンの家の収益金はバンコクの盲学校のために使われています。


時計を見ますと4時近くになっています。そろそろ閉館の時刻ですが、庭の池に面して小さな休憩所があります。夕方になって一段と蒸し暑くなってきました。ちょっとビールでも飲んでいきましょうかね!お馴染みのシンハビールだけでなく、珍しく私の好きなクロスタービールもあります。ちゅめたいビールを飲みながら、観光(観光?)で疲れた体を休めます。さあて、これからどうしましょうかね?そうだ!去年豪飲食した『酒の店』に行って今回のバンコク旅行を打ち上げましょう!仕事?あっ、忘れてたぁ。。。













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