ヴェネチア・HARRY’S BAR





朝のヴェネチア大運河を行き交う小船を眺めながらの朝食はなかなかのものでしたが、何しろ眠いのと疲れでイマイチ元気が出ません。でも、夕方には次の目的地であるボローニャまで列車で移動しなければなりません。とりあえず、先ずやることとして両替があります。成田の両替所はあまりレートが良くないので、本来ならミラノのマルペンサ空港に着いた時点で両替するつもりだったのですが、保険のつもりで5千円分だけ両替してきました。これは大正解だったですね。これがなかったら夜明けのローマ広場で銀行が開くのをひたすら待つしかなかったでしょう。何事も保険は大事です。という訳で、荷物をホテルに預けて(ベッドに寝せたい気分ですぅ)、先ず銀行に向かいます。



奥の茶色の建物がホテルです。小道を1本挟んだ手前の建物が元祖カルパッチョのお店『Harry’s Bar』です。


ヴェネチアのいいところは、狭い地域にいろんなお店が密集していますので、何でも直ぐに用が片付くことです。銀行もホテルからほんの1−2分のところにありました。ツアーだとあまり現金は要らないのでしょうけど、個人の旅行客はいろいろと現金で支払うことが多いので、ちょっと多めに両替しておきます。市中の銀行ですが、やはりレートは成田よりは遥かにいいようです。百何十万リラというまとまったお金が手に入りますと、やはり安心感が違います。ついでに、ヴェネチアからボローニャまでの列車のチケットを買っておくことにします。国鉄を利用するのは5日間なのですが、国鉄のパスは4日分しかないので距離的に一番短い今日の区間はパスを使わないでチケットを購入した方が安上がりです。銀行からちょっと歩くと旅行代理店が見付かりました。早速入ってみます。朝の開店早々だったせいか、お客さんは2−3人しかいません。列に並んでいますと、先頭のお客さんが旅行会社の窓口の係員に何やらしきりに話し掛けています。お客さんが何か質問すると、係りの社員は身振り手振りを交えて受け答えをしています。身振り手振りをしている間は書類から目が離れますし、コンピュータも操作できません。列の後ろで待っていますと、日本人には結構辛いものがあります。

聞くとはなしに聞いていたのですが、どうやらお客さんはアメリカ人の旅行客らしく、コモへの直通列車のチケットを頼んでいるようです。私もコモへは2日後に行く予定にしていたのですが、ガイド本ではミラノのノルド駅から私鉄に乗るという風に書いてありました。あれっ、国鉄でヴェネチアからコモまで行けるんですね。してみると、コモに行くときは国鉄のミラノ中央駅から地下鉄かタクシーを使ってノルド駅まで移動しなくてもいい訳です。これはいいことを聞きました。長いこと並んで待っていたのも無駄ではなかったということです。さて、ようやっと私の順番になりました。折角ですから、ヴェネチアからボローニャまでの短い区間ではありますが、イタリアの誇る最新鋭超特急ユーロスターに乗ることにします。片言の英語で列車のチケットを購入するのはなかなか大変です。特に、混雑した駅の窓口で要領よくポイントを伝えるのは難しいことです。そういう時に力強い味方になってくれるのが前にもご紹介した『イタリア国鉄時刻表』に付属している予約フォームです。これを使って、最小限のやりとりで首尾よく夕方4時過ぎのユーロスターのチケットを購入できました。1等車ですが、お値段は日本に比べたらうんと安かったですね。さあ、これで安心してヴェネチア見物ができます。旅行代理店を出てぶらぶらと歩きますと、街中を張りめぐらす(というか、本当は海が先にあったのでしょうけど)運河に出合います。幅の広いところであればゆったりした橋が架けられるのでしょうけど、狭い街中の橋ではそうもいきません。そこをヴェニス(ヴェネチアより響きがいいですね)名物のゴンドラが観光客を乗せて漕ぎ回っているのです。風情を感じるにはちょと込み合い過ぎていますが、ついカメラを向けてしまいます。



ヴェネチアで最初に行きたいところは?やはり魚市場でしょうね。市場は昼過ぎには閉まってしまうでしょうから、やはり午前中のうちに行かないといけません。地図で見ますと、今朝ほど通った大運河の途中にあります。あの時は暗いのと疲れで市場のイの字も思い浮かばなかったのですが。。。ヴェネチアの道は狭い上に複雑に入り組んでいますので、距離的には近くても辿り付くまで結構時間のかかることがあります。ヴェネチアに限りませんが、イタリアで道に迷わないためのコツとしては、広場の名前と通りの名前をしっかり頭に入れておくことです。四つ角の建物の壁には必ず通りの名前が書いてありますし、ちょっと歩けば広場に出ます。これで道を間違えても早く軌道修正ができるのです。もっとも、裏道・路地を含めて、全ての通りには名前が付けられていますので、地図の中から目的の通りの名前を探し出すのも一苦労なのですが。。。さて、魚市場は大運河を跨ぐリアルト橋を渡った先の川岸にあります。迷いに迷って、やっとリアルト橋に辿り着きました。リアルト橋を見物に来る観光客が目当てなのか、橋の周辺には土産物や雑貨のお店がひしめいています。この雑多な喧騒というか、活気のある雰囲気がいいですね。夏場でなければそんなに人出もなく歩きやすいのでしょうけど、やはりこういった観光名所は、強い日差しの中世界中から来た人たちでカラフルに溢れている夏場が観光地らしくていいですね。閑古鳥が鳴くよりも観光鳥の鳴いた方がいいですもんね。



魚市場の手前には野菜とか果物を売るお店もあります。ヴェネチアの街中にはスーパーらしきお店を見かけなかったのですが、車の走れないヴェネチアでは大量の物資を運び込む必要のあるスーパー方式は成り立たないのかもしれません。でもこういったお店でお買い物をすると、威勢のいいおやじさんとの丁々発止のやりとりや、とれたての新鮮な食材が選べていいですね。



通りの突き当たり(つまり、運河に面したところ)に魚市場があります。古びた倉庫のような建物の中に、築地の場外売り場のような感じでお魚屋さんのお店が並んでいます。台の上には、馴染みのあるお魚(鮪、鯖、鰯、海老など)もそうでない珍しいお魚も沢山並んでいます。どういう訳か、お魚が体を”く”の字に曲げています。あれではお魚をさばきにくいだろうに。。。と思っていましたら、どうやらイタリアではこちらの方が新鮮に見えるらしく、わざと魚屋さんがそうするのだそうです。してみると、曲った胡瓜も高く売れるのかしら。。。



台の上で一際目を引くのは、蜘蛛のような形をした『蜘蛛蟹』です。そんなに大ぶりではありませんが、この蟹の身はサラダにすると超美味なんだそうです。食べたいですねん!



ヴェニスとくれば、ゴンドラですね。前にも乗ったことがあるのですが、折角ですからもう一度乗ってみましょう。ゴンドラのコースは発着する場所によって色々ですが、大体が人数に関係なくボート単位での料金になりますので少人数で乗るとえらく高くつきます。私は魚市場付近の乗り場からサン・マルコ広場の裏手まで乗ったのですが、ヴェニスの旅情は満喫できたものの随分高くつきました。初日からお金の使い過ぎはよろしくありません。ランチは質素に済ませないと。。。



ゴンドラは、やがて大運河からヴェニスの街に毛細血管のように張り巡らされた水路に入っていきます。前からやってくるゴンドラとすれ違う際は、ゴンドラの縁が建物の壁を擦りそうになります。でも、ここでピカピカのピカチューに磨き上げられた船体をゴリゴリ擦っては伝統ある漕ぎ手の名が廃るというものです。ゴンドラは混雑の中をうまくすり抜けて行きます。ところどころで船頭さんの説明が入ります。『この建物にはマルコ・ポーロが住んでいたんですよ!』。『へぇーーー、この建物はそんなに昔からあったんですかねぇ。。。』。マルコ・ポーロの時代には黄金の国ジパングと信じられていたのでしょうけど、今や私のような下々の庶民までもがゴンドラに乗ってマルコ・ポーロの家の玄関先までやって来るようになるとは当時は誰も想像し得なかったことでしょう。。。



結局、マルコ・ポーロとゲーテとカサノヴァにちなんだ建物を見ただけで、ゴンドラはあっけなくサン・マルコ広場の裏手の船着場に着きました。超高額の料金を払ってゴンドラを降りますと、船頭さんが満面こぼれんばかりの笑顔で見送ってくれます。そりゃあそうでしょう。ま、これもいっかぁ。。。と思い直してサン・マルコ広場に出ます。夏の観光シーズンだけあって、広場は世界中からやって来た観光客で溢れています。その観光客以上に多いのがハトの群れです。ヴェネチアの人たちがハトに寛容なのか、あるいは観光客が手なずけしたのか定かではありませんが、ここのハトは人間に対して全く物怖じしません。そのうちにここはハトシック・パークになるのでは。。。と心配になってきます。



広場を取り囲むようにして、ヴェネチアングラスのお店とか、カサノヴァ御用達のカフェとか、いろんなお店がモールのように並んでいます。広場の一角に設えられたオープンカフェでビールを飲んでもいいのですが、お昼はカルパッチョのお店に行くことに決めています。ペットボトルのお水を飲みながら我慢我慢です。広場の奥にあるサン・マルコ寺院に行ってみますと、入口から観光客の列が延々と続いています。この猛暑の中を並ぶ気にはとてもなれません。寺院の横には高い塔が建っていますが、こちらの方はそんなに行列はできていないようです。まさか歩いて登る訳じゃないでしょうな。。。と中を覗き込んだら、どうやらエレベータがある様子。これならと列に並んで待つこと10分ばかし。エレベータに乗って意外とスンナリと塔の頂上に辿りつきました。昨年のサグラダ・ファミリア教会の恐怖の階段とはえらい違いです。。。



当たり前のことですが、塔の上から見ますとヴェネチアが島々から成っているのが良く分かります。しかも、その島の一つ一つはとても小さいのです。全て海面下に打ち込まれた木の土台の上に建てられたのでしょうけど、未だにその機能を果たしているとは驚異です。それにしても風の強いこと!髪がクシャクシャになってしまいます。



また、ヴェネチアの街並みを地上から見たのと高い場所から見たのとでは印象が全然違います。地上からですと建物の屋根は見えないのですが、このように高い塔の上から街を見下ろしますと、何だか中世に戻ったような気分になります。といいますのは、どの建物の屋根も例外なく茶色っぽいくすんだ色をしているのです。イタリアの建物は皆んなそうだと言われればそれまでですけど。うーーーん、これは実際に体験してもらわないと分からないでしょうね。



宮殿と反対側の回廊の窓には液晶の画面がずらりと並んでいて、ピカピカと光っています。サン・マルコ広場も変わったものです。


あんまりゆっくりしていますと、カルパッチョに逃げられてしまいます。ハリーズ・バーに急ぎましょう。。。と、と、ちょっと待ってぇ!折角ですから記念にヴェネチアングラスを買っていきましょう。ヴェネチアングラスは、その妖しい色合いと高度なガラス細工の技術によって世界的に有名ですが、お値段もそれなりにします。旅は始まったばかりです。ここで割れやすいグラスを買うと持ち運びが大変ですが、ワイングラスの誘惑には勝てません。青・緑・赤のグラスを何度も見比べて、結局深紅のグラスにしました。後で聞いたところでは、赤色のグラスを作るのが一番難しいとのこと。これでワインを飲んだら美味しくない訳がない!でも、勿体なくて未だに使えないですぅ。。。



サン・マルコ広場からハリーズ・バーまでは僅か100メートル位の近さですが、どういう訳か1ケ月以上もかかってしまいました。急に決まった引越し、会社の中での異動、それにニューヨークでのテロ(単に、テレビに釘付けになったためなのですが。。。)といろんなことがあって、なかなかハリーズ・バーに辿り着けなかったのですぅ。

時計は午後の2時を回っています。ランチにはちょっと出遅れましたが、ようやっとハリーズ・バーの入り口に着きました。小さなドアを開けて中に入ります。店内にはテーブルが雑然と並び、地元の人か観光客か分かりませんが、談笑しながら午後のひと時を楽しんでいます。私のお目当てはカルパッチョと蜘蛛蟹なので、とりあえずバーでビールでも飲んでサラッと食べれればそれで満足だった訳です。そんな気持ちで入り口の所に立って案内を待っていましたら、ビシリと制服を着用した若くハンサムなボーイさんが近づいてきます。『お食事をお召し上がりですか?』、『いや、カウンターでビールなぞ。。。』なんてことは言える筈もありません。『ハア、ランチを。。。』と言いますと、ボーイさんは先導してズンズン階段を上がっていきます。私は『ハリーズ・バー』というくらいなので、1階のバーだけがお店かと思っていましたが、どうやら1階はバーが主体、2階(3階だったかな?)がレストランになっているようです。



レストランは遅い時間だったせいかそんなに混んではいません。でも、どういう訳か部屋の一番奥の窮屈なテーブルに案内されます。窓際の席からは運河が一望できて眺めがいいのではないかと思いますが、生憎と食後の団欒を楽しむお客さんで塞がっています。ま、ちょろっと食べるだけですからあまり気にはなりません。それどれ。。。ボーイさんから手渡されたメニューを手にとります。おや、ちゃんと今日の日付も入っています。それにバーテンダーさんの可愛いイラストも。。。さっすがーーー、ハリーズ・バー!と感心してメニューを開いた瞬間に心臓が凍りつきました。。。





私のお目当てはカルパッチョです。メニューを開いて探しますと、他のお料理と一緒に小さな文字でさりげなく『CARPACCIO』と書かれています。その隣のお値段を見ますと、『95,000』とあります。えっ。。。徹夜の疲れで”0”がダブッて見えるのか、はたまたコンマがカンマに見えるのか。。。けれども、どう見ても9万5千リラにしか見えません。両替のレートからすると、約6千円近くにもなります。ひえーーーっと後悔の念が押し寄せてきますが、気を取り直して注文します。なんせ、この機会を外したらもう二度と元祖カルパッチョのお店には来れませんからね。それから、えーーーと蜘蛛蟹のサラダね。と、と、と。。。これまた9万リラもします。えーーーい、もう破れかぶれだぁ。。。これも頼んじゃお!ついでにパスタも。。。



これだけの豪華なお料理であれば、ビールなんか飲んでられませんね。お料理がこのお値段ならワインもさぞかし。。。と思いつつ、ワインリストをつーーーっと見てみます。おや、意外と手頃なワインが多いですね。イタリアでは、特にお目当てのワインがなければハウスワインを頼むのがいいそうです。暑い中を歩き回ってきたので、白のハウスワインを頂くことにしましょう。お値段はカルパッチョの半分以下ですが。。。ところで、イタリアのレストランではお料理と飲み物の他に必ずミネラル・ウオーターも注文するかどうか聞かれます(日本のように注文を取りに来るときにお水を出すということはありません)。ミネラル・ウオーターには炭酸入りと普通のお水の2種類がありますが、レストランでは勿論のこと、食品店や露店でペットボトルのお水を買い求めるときでもどちらを買うのかを言わなければなりません(言わなくてもいいのですが、必ず聞かれます)。人によって好みはあるのでしょうけど、日本人には炭酸なしの普通のお水が合っているようです。ハリーズ・バーでもミネラル・ウオーターを注文しましたが、2リットル入り位の巨大なボトルが出てきたのにはビックリ。ゲロゲロ、私はカエルじゃないんですけど。。。

で、お待ちかねのカルパッチョが静々とテーブルに運ばれてきました。おんや。。。小さなお皿ですねぇ。それに何と薄く切った肉でしょう!紙のような厚みです。付け合せはといいますと、このお値段なら普通はこてこてのこてりんこに飾り付けするのでしょうに、何とマヨネーズだけのシンプルさ。。。余程、味に自信があるのでしょうね。どれどれ、フォークで2−3切れすくって口に入れます。お。。。柔らかい!脂身の全くない極上のモモ肉のようです。これなら年取ったお母さんでも十分に食べれたことでしょう。外国の肉は固くて味がないと信じこんでいる人たちにも是非食べて頂きたい一皿ですぅ。



続いて蜘蛛蟹のサラダです。カルパッチョよりも更に小ぶりな盛り付けですが、蜘蛛蟹の大きさからするとこれでも大変な手間がかかったことでしょう。さすがにスプーンでガヴァッとすくう訳にはいきません。スプーンの先で少しだけ蜘蛛蟹のサラダをつまみ口に入れます。淡白ですが上品な味です。でも、あっという間になくなってしまいました。



超豪華なランチはパスタで締めます。チーズをふんだんにかけて焼き上げたパスタで、前の2品とは桁外れのボリュームです。トレーに入れられた状態で運ばれ、テーブルの脇でお皿に取り分けられます。半分を取り分けてもお皿には山盛りになります。これまたコクのある美味しさです。トレーに残った半分が下げられる前に急いで食べなくっちゃぁ。。。



何だかパスタの形が四角いでしょう。


いやーーーっ、美味しかったですね。お料理も美味しかったですけど、ハウスワインがまた結構なお味で。。。幸せな余韻に浸っているうちに、そろそろ出発の時刻が迫ってきました。デザートとコーヒーはパスしてお勘定にしてもらいます。うひょーーーっ、覚悟はしていましたが凄い金額。。。誰ですか、ランチは質素に済ませるなんて言った人は。。。

さあーーーて、あんまりゆっくりはしてられません。ホテルに戻って荷物を受け取り、水上バスの船着場まで急ぎます。といっても、ほんの10m位ですが。。。ところが船着場に着きますと、これが大変な混雑です。どうやら島に泊まらず日帰りの観光客が多いらしく、ちょうど帰りのラッシュにぶつかってしまったようです。切符を買うのもやっとで、その上水上バスがなかなかやってきません。ユーロスターの出発時刻は迫っているし、気が気ではありません。やっと水上バスがやて来たと思ったら、あっという間に満員になってしまいました。それも、バス停に止まる度にその騒ぎが繰り返されるのです。時計を見ながら、水上バスがベニスの表玄関であるサンタ・ルチア駅に着くのをじりじりして待っていますと、さすがに船にはこれ以上のお客さんが乗れなくなったのか、水上バスは途中の停留所をすっとばしていきます。やっとサンタ・ルチア駅の船着場に着きます。やれやれなんとか列車に間に合いそうです。駅へと続く緩い階段を上がっていきますと、直ぐホームになっています。なるほど、改札口はありませんね。黄色いボックスに切符を突っ込み、刻印を押してホームに進みます。程なくスマートな車体のユーロスターがホームに入ってきます。いやーーー、イタリアで初めての列車の旅が始まります。どきどきしますぅ。。。



インターネットで読んだ個人の旅行記では、イタリアの国鉄は時間がルーズでよくストで止まると書いてありましたが、私の今回の旅行では幸いなことに殆ど問題はありませんでした。サンタ・ルチア駅でも列車は殆ど定刻に発車し、これなら今夜宿泊するボローニャにも17時過ぎには到着できるでしょう。どうやら、悪運は初っ端の飛行機の遅れで使い果たしたようです。ところで、イタリアの列車に乗るのは初めてですが、想像していたよりも遥かに近代的な設備をしています。日本の新幹線に比べれば外観は多少汚れているものの、座席回りの広さは比べものになりません。向かい合った4人掛け(2人掛けにも出来ますが)と1人掛けの横3列ですが、関取でもゆったり座れそうな広さです。歩き疲れたせいか、足をウーーーンと伸ばすと気持ちがいいですね。どんなに伸ばしても前の人の足には届かないし!(←足が短いせいもありますが。。。)



ハリーズ・バーでたらふく食べたせいか、お腹はパンパンです。ボローニャまでは1時間30分ほどなので、暫くお腹を休ませて食の都ボローニャでのディナーに備えようと思います。ふと気がつくと、社内販売のような格好のお姉さんがワゴンを引いてやって来ます。お水も持っているし、何もいらないな。。。と思って窓の外を見ていましたら、お姉さんがワゴンの中の品物を指差して何か言っています。『あ、いや今は何も要りません』と言いますと(イタリア語じゃありませんよ)、お姉さんは尚も『どれにしますかぁ?』といった感じで私に話しかけています。どうやら、これは社内販売ではなくて、1等車の乗客に出されるスナックのようです。飛行機ならいざ知らず、列車のサービスとしてはなかなかにお洒落ですね。品物は大したことはないのですが、ソフトドリンクだけではなく、シャンパン(スプマンテか)も選べるところが如何にもワイン大国のイタリアらしいですね。うーーーん、美味しい!



1等車の直ぐ隣には食堂車が連結されています。営業はしていませんが、ちょっと覗いてみましょう。日本の新幹線からは姿を消しましたが、昔懐かしいテーブル席が並んでいます。こんな席で車窓を眺めながらのお食事とワインもいいなあ。。。と、夢は膨らみます。食堂車の先には小さなバーがあって、軽食とか飲み物を売っています。フランスのTGVでは、バーで売られていたワインを全種類制覇しましたが、さすがに今日は何も買う気がしません。おとなしく席に戻ります。



ユーロ・スターは、サンタ・ルチア駅から海上橋を渡って内陸部に入り、夕方とはいってもまだまだ陽が高いイタリアの大地を走り抜けます。未だヴェネチアの余韻が残っていますが、列車は程なくボローニャの駅に滑り込んでいきます。低いホームに降り立ちますと、ボローニャは何となく古びた感じの街に見えます。次の駅を目指して離れ行く列車を見送りながら、一晩だけの滞在ですがボローニャで待っている美食と美味しいワインに夢が膨らみます。とりあえず、駅前のホテルに急ぎましょう。あーーー、ねぶい。。。考えてみますと、もう40時間も眠っていません。『To be, or not?』、眠るのが大事か、それとも食べるのが大事か?そりゃあ決まっていますよ!眠るのは日本に帰ってからでもできますが、ボローニャの美食は今夜しか味わえませんからね!

私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。

(白) イタリア: CANCELLO DELLA LUNA BIANCO (1999)

Produced from white grapes grown from the most respected vineyards in Veneto (Tocai, Garganega, Riesling, Chardonnay and Pinot) by an ideal fermentation process of the grape juice at a low temperature, this delicate wine lends itself superbly to antipasto, rice, eggs and fish dishes. Best served cold in crystal chalices at a temperature above 6℃C.

最初はビールでも飲もうかと思っていたのですが、この雰囲気ではそうもいきません。恐る恐るワインリストを見ますと、意外と安いワインがあります。2万リラのワインもありますね。ハウスワインにしましょう。。。と思って適当に白ワインを頼んだら、何とハリーズ・バーのマークが入ったボトルが出てきました。ひよーーーっ、記念になります!嬉し過ぎますぅ。。。

割とあっさりした味でしたが、お料理が超美味しかったこともあって大満足の白ワインでした。さすがにハリーズ・バーだけあって、安いテーブルワインではあっても、ちゃんと氷をたっぷり詰めたワインセラーに入れて供してくれます。この雰囲気がいいのですね。どんなに安いワインではあっても、最良の状態でお客さんに飲んで頂くという精神がサービスとなって表れています。イタリアで最初のワインですが、もう大満足・大満足。。。











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