ボローニャ・RISTORANTE CESARINA





ボローニャは、マンジャーレ(食)の国イタリアの中でもグルメの都として知られています。スパゲッティ・ボローニャとかボローニャ・ソーセージなど、ボローニャで生まれたかどうか知りませんが、日本でもお馴染みの食べ物に名前がついています。でも、私はスパゲッティとソーセージのためにボローニャを選んだのではありません。窮屈な旅のスケジュールの中で何故ボローニャに宿泊するようにしたのかといいますと、ボローニャはフェラーリの聖地であるマラネッラとアイルトン・セナ殉教の地であるイモラ・サーキットの丁度中間にあって、一日で両方を回るのに都合が良かったからなのです。それに、地球の歩き方を読んでもHISのベテラン社員の方に尋ねても、マラネッラとかイモラの様子はよく分かりません。ここは安心して泊まれるボローニャのホテルを予約しておいて、現地でルートを確認した方が効率的です。

ボローニャ駅から表に出ますと、大通りの反対側にホテルが見えます。一見したところ古びたビルの感じで、ホテルらしからぬ造りです。まあ、今日は食べて寝るだけだから。。。と、あんまり期待しないで中に入りますと、これが意外ときれいな内装なのです。カウンターでは、ちょうどアリタリア航空の制服を着た乗務員の方々がチェックインをされていました。高級ホテルではないようですが、まずまず良さそうです。キーを貰ってエレベータで部屋に上がります。このホテルはなかなか面白い造りになっていて、最上階がペントハウスのようになっているのです。斜めに傾いた天井がチト気になりますが、木製の雨戸を開けますと、外には小さなベランダがあって広い中庭が見えます。結構大きなホテルのようです。お風呂も綺麗だし、お食事の後はゆっくりお湯につかろうと思います。

で、今夜のお食事なのですが、ボローニャの数あるレストランの中で、地元のグルメにも一目おかれているお店に行こうと思います。フロントで訊いてみますと、ホテルから歩いて20分位のところにあるとか。夕方の暑い時間帯ではあるのですが、場所を書き込んで頂いた観光地図を握り締めて街中に出かけます。日本の感覚からしますと、ボローニャの町は人口10万人位の感覚にしか思えませんが、ユーロッパ最古の大学とか宮殿とかがあって、町中が中世の趣をなしています。石造りの建物が多いためか、城壁の中を歩いているような気にさえなります。商店街を抜けてレストランの方角に歩いて行きますと、交差点の角に2本の細長い塔が立っています。これがボローニャのシャトー。。。じゃなくって、斜塔のようです。高所恐怖症ではあるのですが、高い塔が目の前にありますとつい登りたくなってしまいます。どれどれ。。。と入り口を探しましたら、夕方のためか既に扉は閉められていました。ホッ。。。陽が落ちてちょっと薄暗くなってきました。細い裏通りを歩いて行きますと、通りの至る所にいろんな国の人たちが座り込んでいます。ボローニャ大学への留学生なのでしょうか、世界中の国からやってきたかのようです。今夜のディナーを頂く『CESARINA』は、そんな裏通りにある小さなレストランです。未だディナー・タイムが始まったばかりのようで、ドアを大きく開け放たれたお店には1−2組のお客さんしかいません。日本人は珍しいようで、ちょっとドキマギします。奥のテーブルに案内されました。やれやれ、やっとまともなお食事にありつけます。

夕方とはいえ、無茶苦茶に暑い街中を歩き回った後は、先ず冷たく冷えたビッラでしょう。イタリアのレストランでは、日本と違ってお食事のメニューを訊く前に飲み物のオーダーをとってくれませんので、お店に入ってからビッラにありつけるまでにちょっと時間がかかります。そんなにして待ち焦がれたビッラが美味しくない筈がありません。その上、このビッラは苦味が良く効いていて、その上に濃いっ!もう、最高に美味しいですぅ。。。





ビールにもグラン・レゼルヴァがあるのですね。


前菜はメロンのパルマ産生ハム巻きです。普通は『生ハム巻き』ではなく『生ハム置き』の状態なのですが、さすがに生ハムの本場です。惜しげもなく生ハムが使われています。美味しいですね!メロンの酸味と生ハムの脂っこさが口の中で絶妙なバランスを醸し出しています。前菜を堪能しているうちに、ビールはあっという間になくなってしまいました。次はワインを頼むことにしましょう。ワインリストを見てみますと、イタリア国内の産地別に分けられてワインが表示されています。もちろん外国の(つまりイタリア以外の)ワインもあるのですが、折角頂くのですからイタリアワインを選ぶことにしましょう。ランチで思わぬ贅沢をしたものですから、ここはつつましく2−3万リラ位のヴェネト産のワインかトスカーナ産のワインにしようと思ってリストを眺めていましたら。。。おっ、バローロが。。。



イタリアワインの王様といえばバローロ、女王様といえばバルバレスコですね。どちらもイタリア北部のピエモンテ州産なのですが、同じバローロといってもピンからキリまであります。さすがにこのレストランは地元のグルメ通にも一目置かれているだけあって、バローロのお値段も14万リラ(9千円位)となっています。ひよーーーっ!そ、そんなに贅沢は出来ませーーーん。。。でもそんな気持ちとは裏腹に、ウエイトレスさんには『コレ下さい!』と指差していました。安いワインでしたらウエイトレスさんが栓を抜いたかもしれませんが、馴染みでもない日本人がいきなり高級ワインを頼んだものでお店の方でもビックリしたのでしょう、きちんとネクタイを締めたソムリエのおじさんがうやうやしくバローロを持ってテーブルにやって来ました。さすがに年季の入ったソムリエのおじさんだけあって、栓を抜くのも鮮やかな手さばきです。思わず見とれてしまいます。



と、ここまでは他のソムリエさんと変わりませんが、このおじさんは面白いパフォーマンスをやってくれたのです。普通ボトルの栓を抜くときは、最初にソムリエナイフでキャップシールを切り取り、それからネジを差し込んでコルク栓を抜きますよね。それから切り取ったキャップシールの上にコルク栓を置くのですが、食べている間にコルク栓がテーブルの上をコロコロと転がってしまい、なんだか妙に気が散ってしまいます。このおじさんはキャップシールの上部は切り取るのですが、更にその下にナイフを入れて一部を残して手前に折り曲げ、そこにコルク栓を入れて立てておくのです。こうしますと見た目も良く、これはなかなかのアイデアですね。こういうセンスが好きなのですぅ。。。美味しいお料理と最上のワインを楽しんでいるうちに、さすがに疲れたのか眠くなってきました。残念ながらデザートはパスしてレストランを後にします。ふーーーっ、満足・満足。。。



いやーーーっ、よく眠れました。睡眠不足と歩き疲れから回復して、爽やかな目覚めと共に元気が出てきました。元気が出たのはお腹もです。早速朝食を食べにレストランに向かいます。昨夜は着いてから直ぐに外出したのであまりホテルの中は見ていませんでしたが、このホテルは駅前にありながらなかなかに広い敷地を占めています。レストランは2階にありますが、ベランダのテーブル席からは緑濃い中庭が見下ろせ、なかなかに優雅な雰囲気です。勿論、ベランダの席に座ります。



席に着きますと、ボーイさんがやって来てコーヒーのオーダーをとります。イタリアの朝食では、普通のコーヒーとカプチーノの2種類のコーヒーが用意されますが、折角ですのでカプチーノを注文します。カプチーノは、カップの上半分位がクリームの泡で占められていますのでそれほど量が多いという訳ではありません。たっぷり飲みたい方は、普通のコーヒーを注文したら良いでしょう。運が良ければポットに入ったコーヒーが出てきて、タップリ2杯は頂けます。それはそれとして、食の都ボローニャだけのことはあって、朝食とはいってもバイキングスタイルのテーブルには豪華なお料理が沢山並んでいます。いつものように、ハム・チーズ・卵・ソーセージなどなど、恥ずかしげもなくお皿に溢れんばかりのてんこ盛りにします。さすがにお料理の素材はいいですね。とりわけ卵はとても色が濃く、新鮮そのものの感じがします。食べてみますと、その味の濃さにまたまた驚かされます。滋養に富んだ美味しさとはこのことを言うのでしょう。爽やかな朝の庭園を眺めながらの朝食はまた格別です。



折角ですからお庭を散歩してみましょう。緑滴る木々の葉、きれいに刈り込まれた芝生。。。なんか昨日と違いますね。そういえば、ヴェネチアには緑がなかったような気がします。海の上に建てられた町ですからそれも当然かもしれませんが、意外と気がつかないものですね。



おや、もう8時です。そろそろ今日の行動を起こさないといけません。今夜の宿はパルマのホテルを予約しているのですが、ひとつ問題があります。今日訪れる予定のフェラーリの聖地マラネッロはボローニャからパルマへ行く途中にありますが、もうひとつの訪問地であるイモラはボローニャからパルマと逆方向にあるのです。そんなら先にイモラに行って、そのままマラネッロに行けばいいじゃん。。。と思われるかもしれませんが、両方とも駅から遠く離れた場所にありますので、重たいスーツケースを持って行くのは大変です。しかも、マラネッロにあるお目当てのフェラーリ博物館は、イタリアらしく長い昼休みがあるのです。荷物の問題と時間的な制約を考慮して最適なルートを決めるのは、連立方程式を解くよりも難しいですね。うーーーん、と考えて私が出した答えは、
  1. マラネッラとイモラへは手ぶらで行く。つまり荷物はボローニャのホテルに預ける。
  2. 先にマラネッラに行って、その後にボローニャを通り過ぎてイモラに行く。朝からマラネッラに行けば、確実にフェラーリ博物館は開いています。その上、あわよくばフェラーリ本社の前にあるレストランでフェラーリ・チームの人たちとお食事を共にすることが出来るかもしれません。
  3. イモラの帰り道にボローニャに立ち寄って荷物を受け取り、パルマに行く。今年のF1サンマリノ・グランプリはとっくに終わっていますので、イモラ・サーキットには何時に行っても構いません。
というのが最も効率的な方法だと結論付けたのです。我ながら素晴らしい解答です!もうこれしかないっ!と決めたら、早速行動開始です。チェックアウトのついでにモデナ行きの列車の発車時刻を調べてもらい、荷物をボーイさんに預けて駅に急ぎます。おっと、今日からイタリア国鉄のパスを使いますね。フリーパスで列車に乗り込みます。(←大丈夫かなぁ。。。)さあ、憧れのフェラーリの聖地マラネッラはもう直ぐです。心ウキウキ、列車は緑の絨毯が広がる田園地帯を疾走していきます。それにしても、1等車とはいっても暑い。。。

私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。

(赤) イタリア: PIO CESARE BAROLO (1999)

ORNATO e il nome della localita dove sono situate le vigne di proprieta della nostra famiglia, in Serralunga d'Alba, comune dove da sempre si produce Barolo di grandissima longevita e struttura. Solamente nelle migliori annate produciamo il Barolo Ornato da una particolare e severa selezione dei nebbioli di queste vigne di nostra proprieta.

最初からこんなに高いワインを飲んでいいのかしらん。。。と思いつつ、大奮発して注文したイタリアの名ワインのバローロです。ラベルがティオ・ペペに似ているのがちょっと気になりますが、まあいいでしょう。ソムリエのおじさんが心を込めてサービスしてくれた最上のワインですから私も精一杯楽しみましょう。

憧れのバローロです。レストランで本格的にデキャンタして頂いたのは、銀座のレカンと広尾のエノテカ位のものですが、やはり香りが違います。実にふくよかで芳醇な素晴らしい香りです。結構フルボディの重たい感じかなあと思っていたのですが、意外と明るい色をしています。十分に香りを楽しんだ後でおもむろに口に運びますと、さすがに奥行きの深い味です。お料理を引き立たせ、ワイン本来の美味しさを堪能させてくれ、しかも最後まで香りが衰えなかったのは特筆すべきことです。さすがイタリアワインの王様。。。















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