コモ・VILLA D’ESTE



ミラノ駅に近づくにつれ、線路は複雑に入り組んできます。ミラノ駅はここに発着する全ての線の始発駅であり、また終着駅でもあります。そのために線路のあちこちに分岐のためのポイントが設置してあるのです。列車は、巨大なステンドグラスの屋根と壁画で飾られた駅の構内に頭を突っ込むような格好で静かに停車しました。乗客は列車からぞろぞろと降り、ホームの先頭に向かって同じ方向に歩き出します。さすがにミラノはファッションの発信地だけあって、駅の構内もどこか垢抜けた感じがします。どれ、どこかでビッラの一杯でもひっかけていこうか。。。なんて呑気なことを言っている場合ではありません。ミラノには旅の最後に滞在することにしていますので、今日のところはコモへの乗り換えの中継点にしか過ぎません。さて、どうやってコモに行ったらいいのでしょうか?駅員らしき人をつかまえて、『コモ!コモ!』と連呼します。カモになった駅員さんは巨大な時刻表を指差して発車時刻とホームを教えてくれます。見ますと、行き先はスイスのバーゼルかなんかになっています。ひよーーーっ、国際列車ですね!



ホームの先端には連絡用の通路が横に長く伸びています。その先に階段があり、写真によく出てくる丸屋根の巨大な空間が広がっています。広いことは広いのですが、構内は大きな荷物を抱えた人達でごった返しています。その荷物の大きさからして、国内旅行の人達ばかりでないことは見て取れます。ミラノはイタリアの北部にありますので、イタリアとヨーロッパの各地とを結ぶ国際列車が数多く発着しているのです。折りしも夏のバカンス・シーズンのピークが到来しようとしていますので、いろんな国の旅行者が広い構内を埋め尽くすように行き交っています。



他の旅行者のことはどうでもいいのです。どうやったら自分がミラノからコモ行きの列車に乗れるのかを考えないといけません。いままではローカルな列車にばかり乗ってきましたので、パスさえあればどの列車に飛び乗ってもよかったのですが、国際列車ならヤッパシ予約が必要ではないかと思います。列車の予約はどこでしたらいいのでしょうかね?日本でしたら緑の窓口に行けばいいのですが、ミラノ駅の構内は広すぎてどこに何があるのかサッパリ分かりません。しょうがない、構内の端まで歩いてみます。ズンズンと結構な距離を歩いていきますと、カフェらしきところにぶつかります。そこで行き止まりになっています。さすがにビッラを飲む余裕はありません。今度は反対側に歩いてみます。巨大な階段の横に高い天井の部屋があり、窓口が幾つか並んでいます。ここが切符売り場のようです。でも行列はできていませんね。これなら直ぐに順番がくるかな。。。と思って、手続きをしている人の後ろで待っていましたら、窓口の上のところに赤い番号表示が出ています。ハハーーーン、これは銀行や区役所みたいに番号札をとって順番を待つ方式のようですね。えーーーと、番号札はどこでもらうのかな?部屋の真ん中に小さな番号札の発行機が見えます。あー、あそこかぁ。。。随分時間を無駄にしましたが、何とか番号札を手にいれることができました。



列車の発車時刻まであと15分しかありません。でも番号表示機を見つめていてもなかなか自分の番号はやってきません。これ以上待ったら目指す列車に乗り遅れてしまう。。。というタイミングで遂に予約を入れることを諦めてホームに戻ることにします。まあ、予約はしていなくても乗り込んでしまえば何とかなるでしょう。それにしても暑いですね。急に喉が渇いてきました。ミラノからコモへは1時間もかからない筈ですが、ペットボトルの水を買っていきましょう。



土曜日の昼下がりだったのですが、車内は思いのほか空いていました。窓際の広いシートにどっかりと座ります。いやあ、いい気分ですねぇ。。。いつもならここで大宴会が始まるところなのですが、さすがに水だけでは気勢が上がりません。列車はミラノ駅を定刻に発車しました。しばらくしますと、車掌さんが検札に回ってきます。予約はしていませんが、どうなりますかね?私の席に車掌さんがきました。恐る恐るパスを差出します。車掌さんはパスをチラッと見ただけで直ぐ返してくれました。どうやらこの列車には予約は不要だったようです。ホッ。。。



列車はミラノの市街地を離れ、山間に入っていきます。40分ほど走った頃、窓に湖が見えてきました。コモ湖に近づいてきたようです。やがて列車は瀟洒なコモ駅に到着しました。コモには、町の中心に近い私鉄の『Largo Nordo』駅と、町の中心からちょっと外れた『S.Giovanni』駅(コモ中央駅)があります。コモ湖の遊覧とかお買い物などは私鉄の駅が便利ですが、今夜私が泊まる『VILLA D’ESTE』など、湖の西岸に広がる超高級別荘地に行くには国鉄のコモ中央駅を利用する方が便利です。コモ駅は世界的に有名な観光地の拠点にしては小さく、週末だというのに駅の構内は閑散としています。コモには一泊だけして、明日はフィレンツェに行きます。コモからフィレンツェまでは3時間位の長旅となります。また予約で余計な時間をとらないよう、今日のうちに予約を入れておきましょう。フィレンツェには2泊しますが、お目当てのウフィッツィ美術館は月曜日はお休みなので、明日のうちに行かなければなりません。あんまり遅い時間には着きたくないですね。列車はもちろんES(ユーロスター)を選びます。時刻表を確かめますと、コモからミラノまでの列車は意外と少ないのです。ミラノからフィレンツェ行きに接続する午前中の列車は、9時過ぎに1本と12時過ぎに1本があるだけです。せっかく憧れの『VILLA D’ESTE』に泊まるのに、9時過ぎの列車に乗ったのでは豪華な朝食を落ち着いて食べることはできません。かといって12時過ぎの列車ではウフィッツィ美術館に入り損ねてしまう恐れがあります。しょうがありませんね。9時過ぎの列車にしましょう。

駅の切符売り場の窓口は3つありますが、1ケ所しか開いていません。ちょっと取っつきにくそうなお姉さんが座っていますが、仕方ありませんね。窓口に行き、『あのぉ、明朝の9時発のミラノ経由フィレンツェ行きの予約をしたいのですけどぉ。。。』。お姉さんは思ったよりかは優しく、テキパキと端末を操作して指定券を発行してくれました。パスがありますから乗車券は不要です。指定券は大した金額ではありませんが、現金を使いたくないためにカードで支払います。お姉さんはちょっと面倒そうですね。。。ヤレヤレと思って駅を出ようとしましたが、やっぱし9時では早過ぎるような気がしてきました。それに、ウフィッツィ美術館は結構遅くまで開いていると本に書いてあります。えーーーい、やっぱり12時過ぎの列車にしようと再び切符売り場の窓口に戻ってきます。さっき予約をしてもらったばかりなので、お姉さんには頼むのはちょっと心苦しいですね。隣の窓口におばさんが座っています。さりげなくそちらの方に行き、なるべくお姉さんを見ないようにして予約の変更をお願いします。お姉さんが気がつかないかとハラハラしましたが、何とかおばさんに指定券を再発行してもらいました。そそくさと窓口を後にし、駅を出ようとして確認のためにもう一度時刻表を見ましたら、何と10時過ぎにコモからフィレンツェ行きの直通列車が見つかったのです。長距離列車はユーロスターだけだと思っていましたら、CIS(チサルピーノ)という列車があったんですね!ユーロスターよりは格が下ですが、ミラノでの乗り換えも必要なく、フィレンツェまでそのまま行けるのは重い荷物を持った海外からの旅行者には大助かりです。もう一度切符売り場に戻ります。

もうお姉さんの窓口にも、おばさんの窓口にも行けません。幸いなことに、3つ目の窓口が開いていて、やさしそうなおじさんが座っています。お姉さんとおばさんから顔を隠すようにしておじさんの窓口に行きます。『すみません。。。ユーロスターの予約をチサルピーノに変えて欲しいのですけどぉ。。。』。おじさんは直ぐに指定券を発行してくれました。更に、チサルピーノはユーロスターよりもクラスが下なので、指定席料金の差額まで現金で返してくれたのです。



なんだか窓口の係りの人に申し訳なくて、脱兎の如く駅から飛び出します。駅前には小さな広場があり、観光地の表玄関らしく花できれいに飾られています。コモの町がどうなっているのか皆目見当がつきませんので、タクシーでホテルまで行くことにします。『VILLA D’ESTEまでお願いしますぅ!』と言いますと、運転手さんは心得たもので車はスーッと動き出します。あっという間に街中を抜け、やがてタクシーは緑濃い湖の縁に沿って走ります。15分ほど走ったところで細い私道に入ります。立派な門があるのは、ここが『VILLA D’ESTE』の入り口なのでしょう。しばらく進みますと、タクシーは格式あるホテルの玄関に横付けされます。直ぐにホテルのボーイさんが車に駆け寄り、ドアを開けてくれます。もちろんトランクの荷物をお客さんに渡したりはしません。お客さんは手ぶらでフロントに行ってもらい、荷物は全てボーイさんが部屋まで運んでくれるのです。さっすがあ、超高級ホテルは違いまする。。。

モナコのオテル・ド・パリほどは極端な応対(専用のチェックイン・デスクに座リ、ひとつひとつ確認しながら手続きするのです)ではありませんが、さすがに超高級保養地コモ随一のホテルだけあって、フロントにいる人達の格式の高さはそこいらのシティホテルとは比べ物になりません。チェックインが終わると、フロントのお姉さんは一枚のチラシを手渡します。今日は7月14日なのですが、ここはイタリアでありながらフランスの革命記念日を祝う大パーティが今夜行われるのだそうです。お食事・コンサート付で3万円は安くはないのですが、こんな格式あるホテルに泊まって外食するのも勿体ない話です。今夜は貴族になったつもりで豪勢に過ごしましょう!とりあえずパーティの予約を入れ、年代ものの鍵をもらって部屋に向かいます。『VILLA D’ESTE』には本館と別館があり、今夜は別館に泊まります。別館は昔メディチ家の別荘として使われていたとかで、概観は古いながらも赤レンガ造りの重厚な建物です。



この別館に泊まるには目玉が飛び出る位の宿泊料金がかかります。更に、湖に面した部屋に泊まろうとしますと、宿泊料金が倍になる上に予約を入れるのも大変です。そんな部屋を一週間以上も家族で連泊する宿泊客がいるのですから、ヨーロッパの上流社会の豊かさは想像もできません。



私が泊まった部屋から眺めたコモ湖ではありません。廊下の窓から撮ったのです。。。


ホテル内には庭園があり、庭師によってきれいに手入れされています。



その庭園を眺めながら、ビッラを一杯。。。



「NASTRO AZZURRO」とは、イタリア語で青いリボンという意味だそうです。





ホテルには、湖に突き出すようにプールが併設されています。でも、泳いでいる人は見当たりませんね。



宿泊した日が丁度フランスの革命記念日だったので、ホテルでは盛大なパーティが開催されました。ディナーの出席者は正装しなければならなかったのですが、私は礼服なんぞ持参していません。ボーイさんから上着をお借りしたのですが、袖が長すぎて食べるのに苦労しました。



CERNOBBIO, Saturday July 14th, 2000

JULY 14TH AT VILLA D'ESTE

Everybody is still talking about the Fourth of July Party to which all of our Guests of various nationalities participated.
Tonight we have in store another Party to celebrate "Bastille Day", Anniversary of the French Republic. This also promises to be one of the highlights of the Season.

COCKTAILS on the Lake Terrace at 8,00 p.m.
GALA DINNER in the gardens facing the Mosaic
SHOW "PARISIANA" from Bolero of Ravel
DANCING to the "Pino Ferro e Papillon" Band
FESTIVAL OF FIREWORKS

MENU:
WARM GOOSE FOIE GRAS WITH PORCINI MUSHROOMS
IN SAUTERNES WINE SAUCE
BISQUE OF LOBSTER
LAMB LOIN STUFFED WITH ASPARAGUS
IN BREAD CRUMBS
THE FARMER'S CHEESE PLATTER
PEACH TARTE TATIN WITH CALVADOS ICE CREAM
COFFEE
Friandises


Chablis ler Cru Beauroy 1998-Bouchard pere et fils
Gevrey Chambertin 1997-Bouchard pere et fils
Champagne Henriot Souverain Brut

Total cost including beverages is Lire 280,000 per person
For reservations contact our Guest Assistant in the Lobby

N.B. IN CASE OF BAD WEATHER, DON'T WORRY, WE WILL MOVE INDOORS






WARM GOOSE FOIE GRAS WITH PORCINI MUSHROOMS IN SAUTERNES WINE SAUCE




LAMB LOIN STUFFED WITH ASPARAGUS IN BREAD CRUMBS




BISQUE OF LOBSTER






THE FARMER'S CHEESE PLATTER




これは単なる口直しか?




PEACH TARTE TATIN WITH CALVADOS ICE CREAM


ディナーの後もパーティは延々と続いていたようですが、私はついていけず爆睡。。。



翌朝は爽やかな目覚めで豪勢なブレックファストを頂きました。











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