日比谷公園・山梨ヌーボーまつり
秋も深まってきました。都心でも紅葉が始まっていますが、各地のバラ園も見頃になってきているそうです。私は植物オンチなので、バラの開花が初夏と秋の2回あることを知りませんでした。初夏のバラは何度も見たのですが、秋のバラはどんな花を咲かせるのでしょうか?ネットで調べたら、日比谷公園のバラが見頃になっているとのこと。早速、お散歩がてらに見に行くことにします。日比谷公園のバラ園はそんなに広くはありません。花壇の周囲に何か所か植えてあるだけです。
ま、規模は関係ありません。一目眺めればよいのです。ひとしきり眺めた後で帰ろうかとした時に、赤ら顔をしたおじさんが手にワイングラスを持って歩いてきます。昼間っから、しかも公共の公園で何事か!と思って視線を先にやると、何やらテントで囲われた一画が目に留まりました。なんだか賑やかそうな雰囲気です。近づいてみますと、広大な公園の芝生を取り囲むようにしてテントが並んでいます。各テントには行列ができています。皆さん、手にワイングラスを持っていますね。テントの前には「山梨ヌーボーまつり」と書かれた幟がはためいています。日比谷公園でヌーボー祭り?ボジョレーヌーボの解禁は11月の第三木曜日ですが、山梨のヌーボーは11月3日の文化の日が解禁なのだそうです。それを祝って大・大・大試飲会を開催しているのだとか。飛んで火に入る夏の虫とはこのことです。
芝生に目をやりますと、上野の花見どころの騒ぎではありません。花火大会の見物桟敷を凌ぐシートが敷き詰められ、数百のグループがグラス片手に大宴会をやっています。ワインはお代わり自由のヌーボー、高級な惣菜などを持ち込んでいるグループもいますね。
おつまみがなくても、芝生を取り囲んだテントではいろんなお料理が売られています。あるテントではローストポークが売られていましたが、豚クンはあばら骨だけになっていました。こんな姿になってトンでもないと嘆いていたのでしょうか?
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (赤) 山梨県: SHIKISHIMA WINERY BAILEY ALICANTE (2012)
- Bailey Alicante(ベリー・アリカント)
茅ヶ岳の山麓、標高600mの農園で育ったベリー・アリカントA種で醸造しました。重厚な赤色の中に広がる柔らかな香りと程良い酸味が特徴のワインです。他品種の赤ワインにない独特の色と風味をご堪能下さい。
- 原材料: ベリー・アリカントA種100%
- 原産地: 山梨県甲斐村
- 製造年: 2012年
- 容 量: 720ml
- 製造本数: 1,156本
- アルコール分: 12%
- タイプ: 重口・辛口
敷島酒造株式会社
私もこのまま引き下がる訳にはいかず、受付で2千円を払って試飲に加わります。朝から何も食べていないのですが、親切なことに試飲用のグラスにはチーズが一袋付いてきます。とりあえず一杯と、行列のできていないテントに向かいます。試飲できるヌーボーは全部で68種類あり、山梨県のワインメーカー36社が選りすぐったヌーボーです。試飲用のグラスは、フルート型で小さめではありますが、中ほどの目印線までヌーボーを注ぐと結構な量になります。無料の試飲会ならグラスの底にへばりつくくらいしか注がれませんが、有料なので目印線を越える量がドボドボと注がれます。計量栓を付けたボトルもありますが、そうでないボトルは実に気前よく注がれます。他にも試飲したいヌーボーがあるので、ほどほどにと言っても、注ぐ係の人もホロ酔い加減でブレーキが効きません。そんな訳で、全部のヌーボーは試せませんでしたが、総じてフルーティで甘口のヌーボーが多かったように思います。中にはワインになりきらない葡萄ジュースのような味のヌーボーもありましたが。そんな中で、4番のヌーボーはひときわ重厚な味で、他とは全く異質な存在でした。色も驚くほど濃く、とても1−2ケ月で仕上がったヌーボーとは思えません。何回か試飲した後で、家でもう一度試してみようと買い込んだ次第。その結果は?
ボトルの栓を抜きますと、コルク栓の口は暗黒色に染まっています。鼻を近づけてみますと、醸造の匂いはあまりしませんね。重口で香りがありそうなので、グランクルーワイン用のバルーングラスに注いでみます。第一印象は、とにかく色が濃いこと。深紅というよりも、もっと濃い暗黒色みたいな感じです。グラスの内面さえも着色してしまいそうな濃さです。こんな濃い深紅色は今までに飲んだ赤ワインでは見たことがありません。香りはどうでしょう?バルーン型のグラスですが、中の空間にはそれほど香りを感じません。一口含んでみます。やや辛めの味で、コクはあまりないですね。ちょっとだけラズベリーのような酸味が感じられます。そんなに飲みやすくはないので、ゆっくりと飲んでいるとそのうちに少し香りが出てきます。ヌーボーとは言い難い味なのですが、これはベリー・アリカントA種の葡萄を100%使っているからだと思われます。元々はフランス原産の品種らしいのですが、果皮だけでなく果肉まで赤い事で有名なのだそうです。ヌーボーとして供するのではなく、数年間熟成させたらどんな味になるのでしょうか?
今まで数千本のワインを飲みましたが、グラスの内側にこんなに涙を溜めたワインは出会ったことがありません。「深紅の涙」と命名します。
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