立ち呑み晩杯屋 (五日目)


踏破記


今日は晩杯屋巡りの五日目です。昨日の中断地点である五反田駅から今日の歩きをスタートします。



今日の最初の晩杯屋は武蔵小山にあります。五反田から武蔵小山に行くには旧中原街道を通るのが便利です。旧中原街道は、国道1号桜田通りが中原街道と第二京浜に分岐する中原口二差路前に聳えるTOCビルの先の首都高2号目黒線の高架下から中原街道とほぼ並行に、平塚橋交差点手前まで延びています。

旧中原街道

中原街道は、武蔵国と相模国を結ぶ街道として中世以前から続く古道です。中原街道と呼ばれるようになったのは、江戸時代に入って徳川幕府が1604年に整備を行った以降のことです。江戸と平塚間を結ぶ東海道の裏街道として、農産物等の運搬に利用されました。現存の旧中原街道は、荏原一・二丁目に約950メートルに渡って、ほぼその道筋を残しています。




旧中原街道の沿道には、江戸時代に造られた供養塔が残っています。荏原一丁目にある供養塔は江戸中期に造立されたとのことです。

品川区指定有形民俗文化財
旧中原街道供養塔群(一)

本供養塔群は、かつては現在地の北方約10メートルの辻にあったが、昭和三十八年の区画整理の際、ここに移されてきた。四基の供養塔のうち中央の大きい石造地蔵菩薩は、総高1.9メートルに及ぶ。造立年代はわからないが、台石に刻まれている十七の村名や型態からみて江戸時代中期と考えられる。向かって右の地蔵菩薩は延享三年(1746年)寒念仏供養のためのもの、左手奥の馬頭観音は元文元年(1736年)造立であり、この頃戸越本村に馬持講があったことを示す。その前にある聖観音は石造墓碑で、貞享年間(1684年〜1687年)に建てられた。これらの供養塔は江戸中期から後期の庶民の信仰状況を示すものとして貴重である。




荏原二丁目にある供養塔は、旧戸越村の旧中原街道沿いにあった6基の地蔵尊をまとめて、戸越地蔵尊として祀ったもののようです。

品川区指定有形民俗文化財
旧中原街道供養塔群(二)

旧中原街道は江戸虎ノ門より相模国平塚に至る道路で、かつては東海道に並行した脇街道として旅行者や物資の輸送に利用された。本供養塔群は旧戸越村地内の旧中原街道に沿った所に六基存在する。寛文六年(1666年)・延宝元年(1673年)・宝暦四年(1754年)造立の庚申塔、古来子育地蔵と呼んで信仰される造立年代不明の大きな地蔵、風化甚だしく銘文不明の供養塔、髭題目(日蓮宗で本尊として用いる「南無妙法蓮華経」の題目を、「法」以外の六字の筆端を勢いよくひげのように四方にはね延ばして書くこと)が刻まれた寛文二年銘(1662年)の石造墓碑がある。これらの供養塔群は旧街道時代の状態がよく遺され、江戸期の街道の面影を伝えるものとして、また戸越村・桐ヶ谷村の民間信仰を今に伝える民俗資料としてその価値が高い。




平塚橋交差点手前から武蔵小山パルム商店街のアーケードに入ります。武蔵小山パルム商店街は、昭和三十一年(1956年)にオープンした日本初の大型アーケード街です。完成時は全長470mで「東洋一のアーケイド」といわれ、その後も延長拡大し、現在は武蔵小山駅から中原街道まで全長約800mの東京で最も長いアーケード商店街となっています。店舗数は約250で、飲食店や雑貨・服飾などバラエティ豊かなお店が建ち並び、雨の日でも傘をささずにショッピングが楽しめます。流氷祭り・納涼祭り・サンバカーニバルなど、年間を通じてさまざまなイベントを開催しています。商店街独自のクレジットカードやポイントカードを発行するなど、活気あふれる商店街です。

武蔵小山パルム

武蔵小山商店街は、昭和二十二年に組合が結成され、昭和六十年から「パルム」の愛称で呼ばれるようになりました。有名なアーケードの歴史は古く、昭和三十一年にはすでに第一アーケードが完成しています。完成当時は、「東洋一」とも言われ、各地から視察団が訪れました。全長800メートルにも及ぶアーケードは現在でも都内最長を誇り、多くの来客者により賑わっています。




パルム商店街に新しいお店がオープンしていました。魚力と並んで鮮魚店の代表格である中島水産の系列のようですが、入口は狭いものの、奥行きのある大型店です。鮮魚だけでなく、惣菜やお寿司も販売されています。



昔は武蔵小山駅前のパルム隣の横丁は焼き鳥屋や小規模な飲食店が密集した呑兵衛の集まる路地でしたが、2021年に41階建ての超高層タワーマンションのパークシティ武蔵小山が完成した後、駅前の様相は一変しました。私が初めて晩杯屋に行ったのは武蔵小山駅前店でしたが、小汚く超狭い店内は立ち呑み客で溢れていました。当時は赤羽いこいと同じくキャッシュオンデリバリーのシステムで、小銭をカウンターに並べながら注文したものです。



12.立ち呑み晩杯屋 武蔵小山駅前店

現在の晩杯屋武蔵小山駅前店は、2019年に先行オープンしたパークシティ武蔵小山ザ・モールの中にあります。かって駅前の路地にあった数軒の飲食店と共にザ・モールの1階に集約されたのです。駅前でもうもうと煙を上げていた焼き鳥の「鳥勇」は晩杯屋の隣に入っています。各お店は全面ガラス張りになっていて、まるで銀座の高級店のようです。今でもキャッシュオンデリバリーのシステムをやっているのでしょうか?



武蔵小山パルム商店街と並行する都道420号線に出て平塚橋交差点方向に進みます。

13.立ち呑み晩杯屋 武蔵小山本店(仮店舗)

晩杯屋武蔵小山本店は都道420号線に面していますが、お店の前には他の店舗にはない広いテラスがあります。テラスにはワイン樽が置かれていて、テーブルにもなっているようです。星空を見上げながらジョッキを傾けるのもいいですね。暖簾に総本店と書いてありますが、ここは仮店舗とのことです。



コロナ渦の時期には晩杯屋も苦労したようで、店頭でお魚を売っていました。今でも販売しているかは分かりませんが、張り紙はそのまま残っています。午前11時オープンなんですね。丁度開店の時刻なのですが、未だ昼前なのでここは我慢です。



都道420号線を真っ直ぐに進み、国道1号線に出ます。そのまま南下しますと、東急大井町線の高架と交差します。駅入口交差点で右折して商店街を進みますと、右手に中延商店街(なかのぶスキップロード)のアーケードが延びています。中延商店街は、東急大井町線・都営浅草線「中延」駅から、東急池上線「荏原中延」駅までの約330メートル続く商店街です。肉・魚・八百屋の生鮮食品から、カフェ・レストラン・パン・精米・衣料品・インテリアショップまで、いろいろな店が揃い、日常生活に必要な全ての品が揃っています。ちなみに、大正期には現在の中延商店街近辺は一面の竹やぶで、竹の子の名産地でした。



14.立ち呑み晩杯屋 中延店

晩杯屋中延店は商店街に入って2番目のお店になります。やや小ぶりな店構えですが、夜中の23時30分まで開いているみたいです。商店街の他のお店はそんなに遅くまでやっていないでしょうから、シャッターが閉った中で一軒だけ営業しているんですかね。



晩杯屋の手前、商店街の入口に面して「肉の伊吾田」というお惣菜屋さんがあります。店頭には揚げ物を中心にしてお惣菜が列び、常に買い物客が順番を待っています。



見てみますと、ケースの中の鰺フライが特に人気なようで、殆どの人が1〜2枚買っています。私も買おうかと思ったのですが、瞬く間に品切れとなってしまいました。暫し待った後で揚げたての鰺フライがケースに並べられ、2枚をゲットしました。ついでにですが、ケースの中には鰺のなめろうのフライの並んでいます。なめろうのフライなんて初めて見ました。珍しいのでこれもゲット。家に帰ってから食べたのですが、鰺フライは肉厚で下処理が完璧、なめろうのフライは本当に鰺のなめろうを揚げたものでした。どちらも超美味しかったです。



今日は中延の晩杯屋の後、蒲田の晩杯屋まで行くつもりでしたが、せっかく揚げたての鰺フライを買ったので冷めないうちに食べたいと思い、中延駅で今日の晩杯屋巡りを中断することにします。食欲に勝つものはありませんからね。







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