05.渋谷コース
『渋谷コース』は、渋谷駅を起点にして、原宿・表参道から青山墓地を抜け、六本木・乃木坂・赤坂・永田町を経由して桜田門に至る8.4kmに及ぶコースです。表参道は下り坂と上り坂があり、ちょうど中央が窪んでいます。かつてはここを、今は遊歩道となった渋谷川が流れていました。原宿から渋谷に至る街並みは渋谷川が作り出した谷間にすっぽりとおさまる形になっています。江戸時代、青山台地の高台には武家屋敷がそびえていました。その広大な敷地と深い緑は、青山霊園へと受け継がれています。現在の青山通りにあたる大山街道は、いわば尾根道です。そこからのびる無数の支道が、山の手特有の坂の多い景観をつくりあげています。坂をたどって行き着く先は、一方は赤坂、もう一方は六本木です。最先端の繁華街が歴史を秘めた地形の中で目まぐるしく変貌していきます。そして山王坂。官庁街の張り詰めた空気が目の前に開けてきます。
このコースは、次の3つの区間に分かれています。
- 原宿界隈散歩 (渋谷駅−表参道駅: 2.7km)
渋谷界隈は、今や東京随一の人出で賑わっています。公園通りを抜けた坂上のNHK周辺で人影もようやくまばらとなります。国木田独歩が『武蔵野』に描いたのはこの辺りです。武蔵野のうっそうたる緑は、練兵場、オリンピック選手村を経て、代々木公園となりました。若者の街、原宿から瀟洒な表参道を一直線に進みます。参道沿いの大正生まれのモダンな住宅、同潤会アパートも建て替えられます。
- 青山緑陰散歩 (表参道駅−乃木坂: 2.6km)
表参道から今をときめく青山通りを横断します。やがて根津美術館の古風な白塗塀に行きあたります。ここはもう青山の高台です。高台をおおう青山霊園の静かなたたずまいを、斉藤茂吉は多くの歌に詠みました。『墓はらを白足袋はきて行けるひと 遠く小さくなりにけるかも』
- 赤坂山王散歩 (乃木坂−桜田門: 3.1km)
乃木大将ゆかりの乃木坂を下った先が明治以来の繁華街、赤坂です。黒板塀の連なる料亭街が往時の名残り香を伝えています。外堀通りの東側は一変して小高い丘になります。丘上には徳川家の産土神、日枝神社(山王様)が祠られています。社前眼下に広がるのは、政治の中心地、永田町です。
う〜〜〜、昨日は『杉並コース』を歩いて結構疲れました。今日は月曜日だし、お散歩はお休みにしましょう。そうそう、区役所に出かける用事がありましたね。お昼近くですが、お出かけの支度をします。ついでに、途中で気が変わった時のためにお散歩の七つ道具も準備してしまいます。地図にガイドにデジカメ(私の場合はビデオ兼用ですが)などなど。。。あんまりお散歩する気はないので、区役所(出張所になりますが)までゆっくり歩いていきます。区役所は駅からかなり離れていますので、歩いて行くと20分位かかります。今日も秋晴れのいいお天気ですね。南に向って坂道を下って行きますと、太陽の陽射しがポカポカと体中に降り注ぎます。変温動物のワニではありませんが、太陽の陽射しは体の中で眠っていたお散歩の虫を起こします。しょうがない、今日も歩きましょうかね。おっと、その前に腹ごしらえしないと。。。
区役所で手続きを済ませたら、もう1時過ぎになっていました。もうお散歩は無理な時間です。よぴっ、久し振りに渋谷でお寿司でも食べましょう!山手線で渋谷駅に行きます。念のため、ハチ公前の広場で万歩計をリセットします。時刻は1時半過ぎです。109の方向に道玄坂を歩き出します。日本中にお寿司屋さんは何万軒もあると思いますが、回転寿司の中では日本一安いと私が太鼓判を押すのが渋谷の文化村通りから路地に入ったこの(↓)お店です。偶然見つけたのですが、私の回転寿司遍歴の中でも一番のイチ押しのお店です。なんてったって安い!ネタがデカイ!種類が豊富!磯汁がウマイ!マグロ2貫1皿で95円は破格っつうの!あんまり他の人には教えたくないんすけど。。。
写真にもレシートにもお店の名前が出ていないのは偶然か。。。
いつものようにあれもこれもモグモグ、パクパクと食べて磯汁を含めて千円チョット!一日中ランチサービスのようなものです。うっ、食べ過ぎました。。。イケマセン、ちょっと腹ごなしに歩かねば。。。もう2時過ぎですので、お散歩コースは無理です。念のため持参した『渋谷コース』の一部でも歩いてみましょうかね。文化村通りから坂を上ってスペイン坂に向います。昔は土曜日になるとスペイン坂の東京FMのサテライトスタジオに立ち寄ってウインドウ越しにライブ番組を見たものです。残念ながら、ちょうど放送が途切れた時間帯らしく大きなウインドウの前には誰も立っていません。本当は公園通りを歩くのが正しいコースなのですが、路地に入り込んで歩いているうちに渋谷公会堂の前に出ました。今日は追っかけのファンはいないようですね。
さあて帰ろうかと思いましたが、折角ですので久し振りにNHKを見学してみることにします。長〜い通路を歩いた先の入り口に、『NHKスタジオパーク』という大きな看板がかかっています。NHKは随分前に何回か見学したことがありますが、確か入場は無料でした。今回もそのつもりで入り口に近付いてみますと、入場料200円也と表示してあります。あれっ、じゃ入るのは止めようかと思いましたが、お寿司4貫分と思い直してチケットを購入します。月曜日の午後という中途半端な時間帯でしたので、館内には小学生の団体とヒマそうなおじさん・おばさんしか見当たりません。一応、館内のコースに従って進みます。最初のコーナーはデジタル放送の紹介のオンパレードです。NHKとしても力を入れざるを得ないのでしょう。。。
アナウンサーの体験コーナーを覗き込んでいましたら、他に誰もいなかったせいか、『アナウンサーを体験してみませんかぁ?』と招き入れられてしまいました。元来が恥ずかしがりやなので逃げ出そうと思ったのですが、誰も見ていないことだし。。。と思ってアナウンサーの席につきました。テレビで見ていますと、アナウンサーは正面を向いて、机の原稿を見ないで的確に読み上げます。アレ、全て放送前に原稿を暗記しているのだと思っていましたが、実は机の上の原稿が目の前の鏡に写る仕掛けになっているのですね。道理で見もしない机の上の原稿を手で繰っていた訳です。横のモニターをチラッと見ますと、私の間抜けな顔が映っています。おや、シャツの襟首が曲がっていますね。それに髪も乱れて。。。あ〜〜〜、早く映像を消して下さいな!
係りの方へのお礼もそこそこにアナウンサーの体験コーナーから逃げ出します。あの映像、番組に使われないだろうなぁ。。。スタジオはどこも収録はなく、これで終わりかなと思っていましたら、小さな部屋の前で『こちらをご覧になりませんかぁ?5分位の内容で、直ぐに始まりますよぉ。。。』と呼び止められます。ちょっとなら。。。と思って暗室のような部屋に入ります。中にはご夫婦と思われるカップルが1組椅子に腰掛けていました。隣に腰を下ろします。『これは特殊な眼鏡なしに立体ハイビジョンテレビをご覧頂ける装置ですぅ。未だ研究段階ですが、数年内に実用化を目指していますぅ。。。』とのこと。面白そうですね!特殊な眼鏡は不要なのですが、見る角度が重要で、最初に目を動かして立体的に見えるところで顔の位置を固定します。これが結構難しくて、映像を見ているとつい顔の位置が変わってしまいます。それでも、普通のテレビで立体像が見れるのは驚異です。柿を収穫しているところでカメラに向って柿を投げるのですが、映像とは分かっていてもつい顔を反らせてしまいます。私の好きなIMAXも家庭のテレビで観れるようになったらいいですね。
時刻はもう3時半です。帰ろうかなと思いましたが、あと少し。。。原宿駅まで。。。とつい欲張ります。NHK放送センターから代々木公園の縁を通って原宿駅の方向に向います。お休みの日にはロックバンドの演奏とか屋台のお店とかで賑わうのですが、さすがに肌寒い月曜日の夕方ということもあって人出はまばらです。見上げますと、公園の木々は紅葉に染まり、すっかり晩秋の佇まいをみせています。ふと気が付いたのですが、秋の服装には茶色系が多いですよね。あれはまさに紅葉の色なんですね。人間は無意識のうちに季節の移り変わりを色でとらえているのでしょうか。なんて思っているうちに原宿駅に着きました。さぁ、帰ろうか。。。と思いましたが、夕暮れの太陽はかすかに地平線に浮かんでいます。表参道のイルミネーションはこれからが美しく輝くかも。。。もう少し歩きましょう。
ということで、表参道を歩き出します。暫く歩きますと、歩道に沿って長々と工事用の仕切りがあります。かなり広い敷地で工事が進められています。地図を見ますと、どうやら旧同潤会アパートの建て替え現場のようです。表参道の一等地に広大な敷地を占めているのですが、それほど高層の建物にはならないようです。超億ションになると思いますが、誰が住まわれるのでしょうね。。。表参道から青山通りを渡って南青山に向います。高級ブティックのビルが段々と少なくなり、日本式家屋が増えてきます。南青山四丁目の交差点の反対側に茶色い家屋が見えるのですが、あれが根津美術館なのでしょうか?時間も遅いことですし、確かめる間もなく先を急ぎます。
そうなんです。次は青山霊園を横断しないといけないのです。日没の陽射しはあまりにも弱く、ぐずぐずしていたらお墓の中で野宿という事態にもなりかねません。どういう訳か、谷中霊園・染井霊園と同様に、青山霊園も中央に大きな通路があり、桜並木になっています。青山霊園は規模が大きいせいか、霊園の中の道路を自動車が行きかっています。休息中のタクシーもあちこちに停車していますので、夕暮れとはいっても墓地はそれほど寂しくはありません。案内板には、青山霊園に散在する著名人のお墓の場所を記したマップがありますが、この時間からお墓探しをする気にもなれません。後ろ髪を引かれないように、襟を立ててそそくさと足早に霊園を後にします。あ〜〜〜、怖かった。。。
青山霊園から米軍の施設沿いに六本木方向に向います。六本木トンネルを越えたあたりから、一段高くなったところに巨大なビルが建てられています。学校みたいな造りですが、何のビルだか分かりません。更にその隣には、工事用のダンプカーが盛んに出入りしています。これまた広大な敷地ですね。何だろうと近付いてみますと、『新国立美術展示施設(ナショナルギャラリー)』とか書いてあります。敷地だけで3万平方メートルもあるそうです。こんなところにギャラリーを造って観に来る人がいるのでしょうかね?建築費もそうですが、維持費用も大変な金額になると思うのですけど。。。ささやかな納税者としては気になるところです。。。
外苑東通りに出たところで乃木坂方面に左折します。ここでも旧防衛庁跡地に大規模再開発プロジェクトが進行中です。こちらは『ミッドタウンプロジェクト』とかで、民間ですからいいのですけど。。。乃木坂に着いた頃には完全に日没となり、ネオンの明かりでは地図も読み取れません。なんとか外苑東通りから階段を下りて赤坂通りに出ます。乃木神社を過ぎますと、道の両側には段々とお店が増えてきます。赤坂らしく、高級そうな飲食店が多いですね。メニューを覗き込みながら歩いていきますと、先日の『新宿コース』の終点となった地下鉄の赤坂駅に着きます。あぁ、疲れたからもう帰ろうかな。。。という弱気な虫をなだめて、なおも歩いていきます。もう完全に夜のお散歩です。一段と華やかになった飲食店のネオンが胃袋を誘惑します。エスプラナード赤坂通りというのだそうですが、昔と違って焼肉店が多いですね。パチンコ屋さんも増えました。料亭の町・赤坂も変わったものです。。。
赤坂見附から東急ホテルに沿って永田町の方に向います。結構な上り坂ですね。本当のルートは日枝神社の裏手を回るようなのですが、暗いし寒いしでもうどうでもよくなります。衆議院議長の公邸から国会議事堂の方角に向います。なんだかえらく遠回りをしているみたいです。国会の裏門からはお勤めを終えられた職員の方が出てこられます。ふむ、ライトに照らされた議事堂もなかなか見ごたえがありますね。こういう風景は夜でないと見られません。ま、夜のお散歩も良しとしましょう。霞ヶ関の官庁街を歩いて最終目的地の桜田門に向います。折角なら内堀通りを渡って皇居の桜田門まで行きたかったのですが、既に6時前になっています。不審者扱いをされないうちに、法務省の赤レンガの前でお散歩を終えることにします。渋谷でお寿司を食べたのが悪かったのか、はたまたNHKスタジオパークに寄り道したのがマズカッタのか、とにかく疲れた夜のお散歩でした。。。
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万歩計の記録によりますと、『渋谷コース』の歩数は、15、074歩でした。
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