大井町・小西屋商店



先週行ってお店が閉まっていたため、あえなく敗退した大井町・小西屋さんに再度挑戦しました。大井町はJR京浜東北線の駅でもあり、東急大井町線の始発駅でもあります。ここの駅前は何時行っても工事中です。JRの駅の上には真新しい駅ビルの『アトレ』があります。裏手には『丸井』が、隣には大井町阪急デパートがあり、正面にはイトーヨーカ堂の巨大なビルがあります。この間の細い通りを通っていくと、『ニコン通り』とか『光学通り』とかいった名前が目につきます。地図を見ますと、この先にはニコン(日本光学)の大井製作所があるのです。大井町には新幹線の車両基地や大井競馬場といったビッグな施設もありますが、街中は意外とこじんまりしています。ニコン通りの商店街が途切れた先に何やらお店があります。看板を見ますと、乗馬靴専門のお店のようです。きっと大井競馬場で活躍するジョッキーに合わせた特注の乗馬靴を制作しておられるのでしょう。更に歩きますと、大井三ツ又本通りにでます。確かに三ツ又になった交差点です。この交差点の角のコンビニに隣り合ってユニークな酒屋さんがあります。名前は小西屋商店とあります。酒屋でなく、商店といったところに店主のこだわりが感じられます。今回はドアは開いているようです。せっかく来たのですから思いきって入ってみることにしましょう。

表のガラス扉にはいろんなことが書いてあります。ここは水曜日から土曜日の夜、酒屋としての営業が終わった後ワインのテイスティング会をやっているようです。ワインがボトル1本も飲めないような方はご遠慮頂くと書いてあります。つまり、どんなに飲んでもちゃんとワインを楽しんでもらえる方を対象にしているのです。広くもないお店の中央に大きなテーブルと幾つかの椅子がおいてあるのもそのためでしょう。でもただの酒屋さんではありません。南フランスのワインにこだわり、本当にワインの味を語り合えるお客さんだけを招き入れているようにも思えます。両面の壁には四角い蜂の巣のようにワイン棚があります。それぞれの棚の前には見本の瓶が立てかけられています。どれも見たことのない銘柄です。かなり高めの品が多いようです。直に輸入したワインが多いのか、日本語の解説ラベルはあまりついていません。かなり高級ワインに特化したマニア向けの感じです。初心者にはちょっと難しい感じがします。冷蔵ケースにはフォアグラとかチーズとかアンチョビとかも売っていて、こちらは高級おつまみのようです。ワインの専門書も置いてあります。奥にはちょっと気難しそうなおじさんが座っています。このお店のマスターでしょう。マスターはテーブルの奥に座っていて殆ど話しません。でもテーブルの上には何を作られるのか工具類が無造作に置いてあります。お店の品物には結構ホコリがかかっていましたが、店主はあまり気にしていない様子でした。

本当はお店のご主人と会話したかったのですが、なにせ2000円以下のワインを見つけるのが大変で、フムフムといいながらも必死に安いワインを探しました。どうやら2000円以下のそこそこのワインを見つけたのですが、このお値段ではマスターに話し掛けるのもはばかられ、やはり私のレベルではとても太刀打ち出来ないと悟って、早々に退散しました。。。

という訳で、勝負に敗れた小次郎の如く、とぼとぼと大井町の駅に引き返しました。おんや、そういえば大井町阪急の一階に品揃えの豊富な魚屋さんがあったよなぁ。。。と思って、立ち寄ってみることにしました。前にも書きましたが、大井町阪急はデパートには珍しく地下フロアがありません。一階がファッション・フロアの代わりに食料品の売り場になっているのです。勿論お酒のコーナーも一階にあります。ここの奥まったコーナーにお魚の売り場があります。とにかくここには豊富な種類の新鮮なお魚がとても安く山積みされています。私も都内のいろんな魚屋さんを回りましたが、ここほどバラエティに富んだお魚が安く売られているところを知りません。買い物篭を持って、15mほどの距離を端から端まで歩いて何も買わない人がいたらウニコのワインをプレゼントしても良いくらいです。とにかく、何もかも買い物篭に入れてしまいたい衝動にかられます。結局、私は『20個近くパックされた蟹の爪』、『袋にぎゅうぎゅうに詰め込まれた甘海老』、『山盛りのお刺し身用ワカメ』、『顎が外れそうになるほど沢山入った茎若芽』、『ちょと少なめの氷頭なます』を買込みました!さあーーー、今夜は特別メニューで楽しみましょう!

[Wine&Dine亭 晩餐メニュー]


 1.鮪とアボガドの胡麻風味

さーーーあ、最初は海のバターと陸のバターの競演です。鮪はいろんな部位が売られていますが、サクよりも中おちが適しているようです。勿論、新鮮でなければなりません。アボガドは、あまり熟さないちょっと固めの状態で使うのが美味しいようです。アボガドは皮が硬く、また中に大きな種がありますが、皮のまま切り込みを入れ互い違いにねじるときれいに果肉が外れます。こうすると皮は手で簡単に取れます。果肉は小さ目のサイコロ切りにして、それに中落ちを合わせます。これだけでは、お互いに脂っこくて合いませんが、ここに『ごま風味のドレッシング』を合わせると、あーーーら不思議!ワインの絶妙のお供になります。



 2.甘海老のお刺し身

甘海老は頭と殻を付けたまま食卓に出します。いちいち殻をむくのは手間ですが、苦労あっての美味しさ!手をベタベタにしながら、ひとつひとつ口に入れ、殻に付いた鮮やかな青色の卵を一粒残らずなめながら、ゼクトを飲み干せばもうあなたは至福の時を迎えることでしょう!

手がベタベタして写真を撮れなかったぁ。。。


 3.チーズの生ハム巻き渋谷風

普通、生ハムはちょっとしっとりめの状態で売られていますが、東急プラザ地階の渋谷市場で買った『十勝グルメの便り ロース生ハム』は、殆ど生肉のような光沢をしていました。直感的に美味しそうなので買込みましたが、これだけでは勿体無いのでチーズを生ハムで巻いてみました。ちょっと塩味がきつかったのですが、甘口の白ワインには良く合います。これを更に海苔で巻いたら、また不思議な味になるかも知れません。。。



 4.蟹爪とレタスのサラダ

この蟹爪には何もいりません。そのままガバッと口に入れ一気に殻を引きぬくと、たっぷり詰まった蟹肉が頬を膨らませます。ここに白ワインを流し込めば。。。想像を超えた美味しさです。ダージリンは買えなくとも、これなら十分楽しめます。なにしろ20個もあるので食べきれないほどです。。。こんな美味しい思いをしたのは生まれて始めてですぅ。。。

どうしても何かドレッシングを。。。とおっしゃるのでしたら、かなり濃厚な味の『和風醤油味のドレッシング』をお勧めします。



 5.きびなごのお刺し身

『きびなご』とは、鹿児島や長崎の近海で主にとれる小魚です。キラキラと光っているため、遠くからでも目立ちます。小さいだけにこれを開いてお刺し身にするには大変な手間がかかります。苦労して、腰をさすりながら『きびなご』をさばいたとしても、食べるスピードは圧倒的に速いですから、これをさばく人は食べる人に対して愛情がなければこんなバカバカしいことなどやっておれません。最近では都内の魚屋さんにも、きれいにさばいた『きびなご』をパックに入れて売っています。九州の人なら焼酎に『きびなご』でしょうけど、ここはワインと合わせてみましょう。

お酒の飲めない方は、ご飯のおかずとしても頂けます。酢醤油に七味でも入れ、きびなごにこれをつけながら頂くのもおつなものです。



 6.イカのゴロ焼き

イカの下ごしらえはなかなか面倒な上に、台所を汚すのでつい敬遠し勝ちです。手抜きをするとしたら、生イカをお箸の先につまんで水道の蛇口で洗い、そのままお湯をはった鍋の中に入れます。腹わたも何もかも一緒ですから、そのイカが変なものを食べていたら悲劇です。イカは短時間でゆで上がりますから、そのまままな板の上に取り出して輪切りにします。イカワタが無駄にならないようにしましょう。最低限、竿だけは取っておきたいものです。土手を築いたアルミフォイルの上にこの輪切りのイカを置き、オーブンで焼きます。するとイカミソがうまい具合に絡まって最高のお酒のおつまみになります。ご飯と一緒に頂いてもグーです。ちなみに、北海道では、イカワタのことを『ゴロ』と呼ぶそうです。



 7.アン肝の酢醤油かけ

そろそろアンコウのシーズンも終わりに近づきました。たまに、フォアグラよりも美味しいアンコウの肝が生のままパックされて売られていることがあります。たまたま安くで買えたものですから、料亭なみにアン肝に挑戦してみることにしました。

先ほど舐めまくった甘海老の殻を煮出してだしを取ります。家庭で食べるくらいの少量でも結構濃いダシがとれます。これにアンコウの肝を入れ、コトコト煮込むのです。あまり煮込み過ぎてはいけません。軽く火が通ったところでアン肝だけを取り出し、薄めにスライスします。これに先ほどの『ごま風味のドレッシング』をかけると、トゥールダルジャンもマキシム・ド・パリも驚く、『アン肝のスライス』が完成します。この濃厚な味がまたワインによく合う!



 8.海老のうまみをたっぷり含んだ高野豆腐の玉子とじ

更に、アン肝を引き上げた後のだし汁に、お湯で戻した高野豆腐を入れます。たっぷりと海老の旨味が染み込んだ高野豆腐にとき玉子を絡ませ、絶妙の一品の完成です。

 9.五目寿司と甘海老の殻でとったお吸いもの

最後に、インスタント五目を合わせて、手軽にお寿司を作ります。インスタントながらミツカン酢の味は本物です。



10.デザート(苺)

お砂糖を苺の上にまぶして牛乳をかけます。牛乳の代わりにヨーグルトでも宜しいかと思います。



11.番外編: 氷頭のマリネ

氷頭は、氷屋さんに行っても売っていません。薬局に行っても氷枕を勧められるだけです。店先に並んでいる氷頭はとても柔らかいので、そのまま食べれます。薄くスライスしたレモンの輪切りとかを混ぜ込むと更に美味しさが増します。

12.番外編: 茎若芽の油炒め削り節添え

生食用の茎若芽はとても柔らかいのですが、一応火に通しましょう。少量の油をフライパンに敷き、茎若芽をドッと入れます。軽く、塩・胡椒をまぶすのも良いでしょう。湯気の立っている茎若芽に削り節をまぶすと非常にミスマッチですが、変わった美味しさになります。

13.番外編: こだわり厚揚げのオーブン焼き

この厚揚げは、東急プラザ地階の渋谷市場にしか売られていません。どんなに閉店時間が近づいても決して値引きしないこだわりの厚揚げです。ふっくらしていて、ただオーブンで焼くだけでいいのです。焼き上がりましたらお醤油とチューブ入りしょうがをつけて頂きます。田舎のお豆腐を思わせるふくよかな味が口中に蘇ってきます。

14.番外編: 若芽のお刺し身

新鮮な若芽はそのまま生で美味しく食べられます。しばらく水に漬け、取り出して水気を切ったらあとは食べやすいように適当な大きさに切るだけです。ドレッシングは小さな袋に入っていますが、足りない場合は前述のゴマ風味ドレッシングを使いましょう!


幸せな時間を過ごしたら、またワインが飲みたくなります。そこで初体験ですが、『YASUTANI大ワイン会』のテイスティングに行ってみましょう。YASUTANIにつきましては、ここをご覧下さい。

小田急線の下北沢は若者に良く知られたナウイ街ですが、その東隣に東北沢という駅があるのをご存知でしょうか?下北沢と代々木上原に挟まれたこの小さな駅は駅構内がやたらと広いのです。小田急線は路線が長い上に、箱根・江ノ島といった観光地への特急や急行が多く、その間をぬって運行される普通電車はあちこちの駅で上位の電車を待つハメになります。新宿から小田原まで普通電車に乗った人は小田急線の開業以来、恐らくいらっしゃらないでしょうけど、普通しか停車しない駅を利用される人はなかなか不便な思いをなさっているのではないでしょうか。東北沢駅はまさにそんな駅のひとつで、とにかく普通電車しか停まらないのです。ひどい時には電車が5−7分もホームに停まったままになります。

今回の『YASUTANI 大ワイン会』は、そんな東北沢駅から2分の『清風クラブ』の2階ホールで開かれました。駅を出ますと、なにやら案内のパンフレットを広げた老若善男善女のグループが幾つか歩いています。ちょとパンフレットを覗いてみますと、ワイン会の案内です!あ、こんなに沢山のライバルが。。。と一瞬緊張感が走ります。ワインのうんちくのライバルでなく、試飲用のワインとおつまみのチーズを奪い合うライバル。。。といっては情けないですね。仲良く一緒にテイスティングしまひょ!

東北沢は泣く子もだまる高級住宅地ですが、線路際には赤レンガの瀟洒なテニス・クラブが建っています。なるほど、テニスとワインはいい組み合わせだなと感心しながら受け付けに向かいます。事前に入手したチケットと引き換えにパンフレットを頂き、奥のホールに入ります。ここで小さな試飲用のグラスを受け取ります。このグラスで19種全てのワインをテイスティングするのです。違ったワインの味が気になる方は途中でグラスを用意された水で洗えば良いわけです。会は17:00に開始され、19:00まで続きました。開始当時は私を含め10名くらいでしたが、一番混んだ時間帯には70−80人のワイン愛好者が集ったようです。驚いたことに、年配者は殆どなく、うら若い女性がやけに目立ちました。個人参加は少なく、何度も参加されているような強者どもが多かったようです。

ワイン会は何の挨拶も合図もなく始まりました。とにかく、番号に従って(従わなくてもいいのですが)勝手にグラスにワインを注ぎ、おつまみのパンとチーズを片手に、好き勝手なことを言いながら片端からテイスティングしていくのです。グラスに溢れなければ幾ら注いでも構いません。また、何杯飲んでも構いません。一応床にはビニールシートが敷かれていますが、皆さん慣れていらっしゃるのか、はたまた肝臓がお強いのか粗相する人もいません。上品な方は飲んだ後で、グラスを水で濯ぎ、備え付けのバケツに捨てます。私は濯いだ水も飲み干してしまい、一滴も捨てませんでしたけど。。。今回出されたワインは次の19種類でした。

    [白ワイン]

  1. アルザス・リースリング 1995 (市販価格:2,500円)
  2. アルザス・トケイ・ピノ・グリ 1995 (市販価格:2,500円)
  3. アルザス・ゲヴュルツトラミネール 1995 (市販価格:2,500円)
  4. フィリップ・ラグノー・リゼルヴァ 1997 (市販価格:3,000円)
  5. プイィ・フュメ・シレックス 1995 (市販価格:8,000円)
  6. ベリンジャー・プライベート・リザーヴ・シャルドネ 1996 (市販価格:6,000円)

    [赤ワイン]

  7. カレラ・セントラル・コースト・ピノ・ノワール 1997 (市販価格:4,500円)
  8. キュベ・ミティーク 1996 (市販価格:3,000円)
  9. ラ・トゥール・ボワゼ・シラー・スペシャル 1996 (相場なし)
  10. グレンジハースト・カベルネ・メルロー 1995 (市販価格:4,000円)
  11. レ・フィエフ・ド・ラグランジュ 1995 (市販価格:6,500円)
  12. ドゥモワゼル・ド・ソシアンド・マレ 1995 (市販価格:6,500円)
  13. バルベーラ・ダルバ・ヴィーニャ・ガッテラ 1996 (市販価格:5,300円)
  14. バルベーラ・ダルバ・ヴィットリア 1996 (市販価格:5,500円)

    [有料試飲]

  15. セナ 1996 (特別価格:9800円)
  16. シャトー・ラトゥール 1981 (特別価格:23,000円)
  17. シャトー・ラフィット・ロートシルト 1981 (特別価格:25,000円)

    [デザートワイン]

  18. オルヴィエート・クラシコ・ブリッキオ・アマービレ (市販価格:2,000円)
  19. ソーテルヌ (市販価格:2、800円)


ちなみに、私のお気に入りは、#10/#11/#13くらいでしたかね。また、有料試飲一杯分は50mlで、#15は1,000円、#16は1,500円、#17は2,000円でした。私はこの3種類の有料試飲ワインを全て飲んだのですが、そんなに他のワインとの違いは分かりませんでした。『違いの分かる男』にはなれないようです。。。飲んだ量を全て合計したら1リットル以上はあったでしょう。いや、もっとかな?

私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。

(赤) フランス: DOMAINE LA REMEJEANNE COTES DU RHONE (1997)

フランス銘醸ワイン

自家葡萄園元詰めのワイン

生産者が、葡萄栽培から醸造、瓶詰めまで丹精込めて行い、生産量も限られた手造りの逸品です。

Cotes du Rhone LES CHEVREFEUILLES(コート デュ ローヌ レ シェーヴルフォイユ)

1988年にワイン造りを引き継いだレミー・クラン氏が、このドメーヌの評価を一気に高めました。熟成に必要な酸も十分にあり、チェリーやブルーベリーを思わせる心地よい味わいがあります。シェーヴルフォイユは、ラベルに描かれている『すいかずら』の意味です。

生産者: レミー・クラン家(ドメーヌ・ド・ラ・レメジャンヌ)
生産地域: コート・デュ・ローヌ地方
葡萄品種: グルナッシュ(40%)、シラー(40%)、サンソー(20%)
タイプ: 赤(ミディアムボディ)

フランス銘醸ワインのシリーズは以前にも飲んだ筈ですがどこに書いたか思い出せません。小西屋さんのマニアックな品揃えの中では比較的馴染みのワインです。私にはこれくらいが適当でしょう。

そんなに自己主張をするワインではありませんが、おとなしいながらも飲みやすい味です。ブルゴーニュのピノノワールに近いようにも思えますが、やはり産地が少し南の方に移ると、ちょっと性格が違ってきます。ボルドーやブルゴーニュの赤は味の濃さや複雑さを重んじているように思えますが、これはどことなくシンプルな味です。やや辛いのが難点ですが、フランスにもこういったワインがあるということを知ってみるのもいい経験と思います。











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