マラネッロ・BAR CAVALLINO
列車はマラネッロへの玄関口であるモデナに到着しました。モデナの町は、一見したところ地方の小都市といった感じです。町の中心から駅が少し外れて位置しているためか、駅前の広場はガランとしています。地球の歩き方には、マラネッロへはバスを乗り継いで行けると書いてありましたが、私はこの後イモラに行って、更にボローニャでホテルに預けてある荷物を受け取り、今夜の宿であるパルマまで行かなければなりません。1時間に1本しかないようなバスを待つような悠長なことはやってられません。『時は金なり』です。ここはタクシーを拾うしかありませんね。おっと、その前にモデナからイモラへの列車の時刻表をチェックしておかなければなりません。何しろ、イモラはローカルな駅ですのでそんなに沢山の列車が走っているとは思えません。待合室に張り出された時刻表を食い入るように見つめます。時刻表は大きいのですが、書いてある字が小さいのです。時刻表の読み方は万国共通ですから、目指す列車を調べるのはそんなに難しくはありません。うーーーん、思った通りあんまり本数がありませんね。その上、1時過ぎの頃合の良い列車はボローニャ止まりになっています。その前の12時では早過ぎるし、さりとてその後の2時では遅いし、困ったな。。。と思ってよくよく時刻表を眺めますと、何と1時過ぎの列車はボローニャでイモラ方面行きの始発列車にうまく接続しているのです!ナルホドこういう乗り方もあったのか、と目から鱗が落ちる思いです。そうと決まったらグズグズしてはおられません。タクシー乗り場に急ぎます。
平日の朝とはいっても、タクシーに乗るような人は少ないのか、タクシー乗り場には空のタクシーが何台か並んでいます。2−3人の運転手さんが手持ち無沙汰のような格好で世間話をしています。ラッキー!とその輪に近づいていきます。『あのぉ、フェラーリ博物館に行きたいんですけどぉ。。。』と声を掛けます。未だ20代位の若いお兄さんが,『O.K.よ!乗りなさい!』と車に案内します。『いやいや、ちょと待って!』、最初に料金を確認しておかなければいけません。『お幾らですかね?』と訊きますと、『10万リラですぅ』。往復だと20万リラかよぅ!ひよーーーっ、た・高いっ。。。ベネチアのゴンドラ並みです。でも今更帰る訳にはいきません。『えーーーっと、それでね』と今度はフェラーリ博物館まで迎えに来てくれるかどうか訊いてみます。1時過ぎの列車に乗るためには、マラネッロでタクシー探しをしている暇はありませんからね。運転手さんは二つ返事で『O.K.よ!』と承諾してくれます。当然でしょう。朝からこんなにオイシイお客さんはある筈もないですからね。ピッカピカのタクシーに乗り込み、一路マラネッロを目指します。
モデナからマラネッロまでは、バスで行っても40−50分近くかかるそうですから相当な距離のようです。タクシーはモデナの町を離れ、段々と田園地帯に入っていきます。30分位走った頃でしょうか、不意に運転手さんが車を道路脇に止めます。『ほら、見てごらん』と指差した方向にはフェンスが張ってあり、その奥には何やらサーキットのような広大なコースがあります。これがフェラーリのテストコースのようです。何とこんなところにテストコースか!と、早速車を降りて写真を撮ります。残念ながらテスト走行はありませんでしたが、今にもF1カーの爆音が聞こえてきそうな感じがします。
タクシーに戻ってほんの少し先に行きますと、道路に沿って街路樹と長い塀が連なっています。ここがフェラーリ本社のようです。タクシーはフェラーリ本社の先を右折し、300m位進んだところで止まりました。目の前には真っ赤なゲートが見えます。憧れのフェラーリ博物館です!運転手さんに12時30分に迎えに来てくれるように念を押してタクシーを降ります。運転手さんにとってみれば、2時間半後にまたモデナからここまでやってくるのは大変でしょうけど。。。
ゲートの左上には、ちゃんとスターティング・シグナルが。。。おまけに、青のサイン!さあ、入りましょう!
チケットを買い込んで、何だかやけに警戒が厳重な入り口を通り抜けますと、その先はフェラーリ・グッズの販売コーナーになっています。フェラーリファンなら垂涎のグッズが並んでいますが、先に博物館を見物することにします。
博物館は販売コーナーの横にあって、地下と2階から成っています。つまり、1階がないのです。そういう造りのために、博物館に入るドアを開けますと2階に展示してある車の底の部分を見ることが出来ます。F1カーの底の部分はなかなか見る機会がありませんが、シュー・マッハが2000年のF1レースで実際に乗った車だけあって迫力があります。階段を下りて地下に行きますと、クラッシックなレーシング・カーも展示してあります。今でも十分にレースに出走できそうです。今度は2階に上がってみます。2階に展示してある車は比較的新しく、馴染みのレーサーの名前があちこちに見当たります。フェラーリ博物館に来るような人はコテコテのカーキチかと思っていたのですが、意外と中年のおじさんとかおばさんが多いようです。2階からは、外の階段を下りて芝生にも出れます。そんなら芝生から逆に博物館に入れるかも?
2階の棚には、これまでにフェラーリチームが獲得したトロフィーが並んでいます。凄い数ですね。これから獲得するトロフィーはどこに入れるのでしょうか?そのうちに3階のフロアが増築されるかもしれませんね。
帰りにフェラーリ・グッズの販売コーナーに立ち寄ります。出発前にお友達に今回のイタリア旅行を散々吹聴しまくってきたおかげで、ここでも何かお土産を買っていかなければなりません。お値段もさることながら、なるべくかさばらないようなグッズを探します。フェラーリ博物館のパンフレット!これは無料だし、かさばらなくていいですね。4−5枚まとめてゲットします。次にフェラーリのデータが詰まった手帳。これも小さくていいです。ゲット、ゲット。うーーーん、これだけでは有難味がないですねぇ。。。えーーーい、大奮発してマウスパットをおまけしましょう!ついでに、私のお土産を。。。お、フェラーリのマークが入ったキーホルダーがあります。15万リラかぁ。。。うん、買っちゃいましょう!(←衝動的に買ったけど、結局使いもせずに押し入れの奥に埋もれている)
さて、今度はフェラーリ本社を見物することにしましょう。博物館からフェラーリ本社へは歩いて10分位の距離です。暑い日差しの中、木陰を選びながらのんびり歩いて行きますと、住宅の合間に小さなショップが点在しています。せっかく来たのだからモデナのワインでも買って帰りたいなぁと思いながらお店を覗いていますと、小さなワインショップ風のお店がありました。店内の棚にはボトルが並んでいます。おっ、と思って中に入ってみますと、ワインとはいってもスプマンテのようなボトルです。見るからに頑丈そうな感じで、持って帰るにはチト重過ぎます。別の棚を見ますと、小さなボトルが沢山ならんでいます。なーーーんだ、ここにあるじゃん!と思ってボトルを手にとってみますと、マラネッロの地名とクラシックなレーシングカーがラベルに描かれています。これなら荷物にならなくていいですね。でも、何だかヘンですね。。。よくよくラベルを見ますと、バルサミコ何チャラと書いてあります。どうやら、ワインではなくてバルサミコ・ビネガー(酢)のようです。まあ、ワインも寝かせておけば酢になるというし、似たようなものです。。。と買ってはみたものの、いまだに台所の棚の奥に鎮座しておりますぅ。。。
Acelo Balsamico di Modena
ROSSO DI MARANELLO
SPECIALITA MODENESE DI GRADEVOLISSIMO SAPORE AGRO DOLCE NOTA FIN DAL XV SECOLO
Ottenuto da mosto di uva trebbiano dolce e aceto forte stravecchio secondo una antica ricetta, invecchiato per molti anni in botticelle di revere, castagno, ginepro e altri legni pregiati. Usi: squisito come condimento di insalate crude e cotte, pinzimonio, carni lessate e alla griglia, scaloppine salse, frittate, uova ecc.
後で知ったのですけど、モデナってバルサミコ酢の産地なんですね。生ハムといい、パルメジャーノ・レジャーノといい、このあたりは食材の宝庫のようです。
それにしても暑いっ!たまらず近くのスーパーマーケットに入って、ギンギンに冷えたミネラルウオーターを買い求めます。お店の中の棚には山のようなワインが並んでいますが、モデナのワインは見当たりませんね。結局、お水を買っただけでお店を出てしまいます。道を挟んだ反対側にはフェラーリ本社のゲートが見えます。中に入れるのは特別なお客様だけだと聞いていましたので、残念ながら遠くから見るだけにします。それにしても、最先端の技術を詰め込んだF1カーのメーカーにしては、落ち着いた感じの建物です。うーーーん、遂にフェラーリの聖地に降り立ちました!
フェラーリ本社の真向かいにレストランがあります。普通、フェラーリの跳馬は黄地に黒のマークなのですが、このレストランの入り口にある跳馬は囲いを抜け出したかのようです。丁度お昼前だし、何か食べていこうかと中に入ってみます。
中庭には、これまた跳馬が。。。よくもここまで刈り込まれたものですな。
ドアを開けて中に入りますと、壁一面にフェラーリの写真とか何とかが飾りつけてあります。勝手にあちこち触りまくっているうちに、奥の部屋で開店前の賄いランチを食べているお店の従業員と目が合ってしまいました。日本と違って、12時になっても未だランチは始まっていないようです。慌ててレストランを飛び出します。隣にあるバーに立ち寄ってから戻ったら、レストランの入り口は閉められていました。。。
そろそろタクシーが迎えに来てくれる時刻です。またフェラーリ博物館に戻ります。途中でフェラーリ・グッズを売っているショップに立ち寄りましたが、さすがにもう買う気はしません。駐車場に戻りますと、約束通りタクシーが待っていました。さあ、急いでモデナの駅に戻って、イモラに向かわなくてはいけません。タクシーは列車の発車時刻より大分前に駅に到着しました。タクシーの運転手さんはとても親切で、迎車料金を請求することもなくメーター通りの料金でいいとのこと。いやあ、モデナはいいところですね。ホームで列車を待っていますと、ほどなくパルマ方面からくたびれた車体が現れてきました。一応、一等車は連結されているようですが、昨日のユーロスターとは比べ物になりません。座席は広いのですが、冷房設備が付いていないようです。列車がホームを離れスピードを上げていく間に、開け放たれた広い窓からは容赦なく炎天下の熱風が吹き込んできます。イモラまでは、ボローニャで乗り換えて1時間位かかるようです。猛烈な風を顔に受けながら、イモラの町を思い浮かべます。でも、ともかくも今日の予定の半分は無事終了したことだし、イモラがどんな町なのか、またイモラ・サーキットまで辿り着けるかどうか分かりませんが、それも旅の楽しみです。水をガブ飲みしながら、ひたすら暑さに耐えます。。。
私のお勧めのワインは次の通りです(説明文はラベルから転記しました)。
- (赤) イタリア: LAMBRUSCO DI MODENA (1999)
- 特に解説はありません。
フェラーリのファンなら泣いて喜ぶ『Ristorante Cavallino』の名前が入った超レアもののワインです。『Ristorante Cavallino』は、フェラーリ本社から道ひとつ隔てたところにあります。場所柄、フェラーリ本社/工場で働く社員とかマラネッラ巡礼の旅人で賑わっているそうです。『・・・そうです』というのは、私がこのレストランに着いたのは正午近くで、未だレストランは準備中だったために実際に確かめることはできなかったからです。私はお店が準備中だとは知らず、ズカズカとレストランの中に入ってひとり舞い上がって飾り付けなどを触っていましたら、奥のテーブルで従業員の人たちがお昼を食べているのが見えました。一瞬目が合ってしまい、これはマズイと一目散に退散。。。迎えのタクシーの時間も迫っていたので、レストランは諦めてとなりのバーに入りました。工場はもうお昼休みになっていたのか、フェラーリの作業服を着た工員さんが軽食をとりながら雑談をしています。
私も喉が渇いていたのでビールを一杯注文し、ついでにフェラーリ土産のワインがあるか訊いてみます。店員さんは通路でつながったレストランの方に引っ込み、暫くして2本組のワインが入った箱を抱えて戻ってきました。
ひよーーーっ、まだこの先は長いのに、重いワインを2本持ってイタリアを回るのは大変ですぅ。。。でも、でも、この機会を逃したらもうこのワインに再び巡り会えることはないでしょう。えーーーい、どうしようもなくなったら途中で飲んじゃえっ!という訳で、この2本組のワインはイタリア各地を旅し、途中で命を落とすことなく東洋の島国ジャポーネに辿り着いたのです。。。
いやーーーっ、今年のF1も終わってしまいましたね。このワインは本当は鈴鹿のスタンドでフェラーリ・チームを応援しながら飲もうかと思っていたのですが、鈴鹿は東京からはあまりにも遠く、会社を休むことも出来ませんでしたので(そうなんですぅ、最近忙しくてね。。。)残念でしたが自宅でTV観戦しながら飲んでしまいました。えっ、フジTVの放送は深夜では?ダイジョーーーブ!CATVでフジテレビ721というチャンネルを契約したことで、土曜日のフリー走行から予選、日曜日の決勝まで生中継で観れるようになったのです。日曜日の深夜にテレビを観ながらワインを飲むのは翌日に差し支えますが、昼間なら大丈夫です。驚異的なタイムで難なくポール・ポジションをとったシュー・マッハが予選の勢いを駆って最初から飛び出しています。こりやシューで決まり!と冷やしておいたワインを開けます。実はこのワインは以前飲んだことがあるのです(ここをご覧下さい)。珍しい赤のスパークリングワインなのですが、ちょっと甘ったるくて私には苦手なタイプです。まあ、いいでしょう。ゴクゴク飲んでいるうちに、めでたくシューちゃんもトップでゴールインです。モデナから大変な思いをして持ち帰ったワインも無事お勤めを終えて今年のF1もお終い。。。またこれでイタリアも遠くなってしまいました。(←旅行記はどうした。。。)
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